感想

きみはアニメ映画『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』の部屋を見たか?

タイトルの通りです。 電撃文庫『青ブタ』公式情報によれば、シリーズが完結するとのことで、めでたいね。アニメ化も最後までするのかな。待ってるね。 dengekibunko.jp 【注】本記事には、青春ブタ野郎シリーズ『おでかけシスター』『ランドセルガール』ま…

『千年女優』をあと何度も観直すためのいくつかのメモ。

???「千年女優を見たことがない? 初恋を経験したことがないならそれでいいけど」 【※】本記事はアニメ映画『千年女優』のネタバレを多数含みます。未見の方はご注意ください。 タイトルコール。ビデオの巻き戻しから入るのが示唆的である。 2月に再上映…

ぼくは幌田『またぞろ。』を読んで泣いた。

幌田『またぞろ。』とは? またぞろ。 1巻 (まんがタイムKRコミックス) 作者:幌田 芳文社 Amazon 留年生×3が送る人間へたくそ青春コメディ。 約1年間引きこもりだった殊は、春から2回目の高校一年生。病弱で同じく留年生の詩季、奔放でこれまた留年生の巴…

『アリスとテレスのまぼろし工場』メモ

※本記事は映画『アリスとテレスのまぼろし工場』のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください 本記事の態度 ・『アリテレ』は岡田麿里的な作品の集大成だが傑作ではない ・『true tears』『凪のあすから』『あの花』『空の青さ~』『フラクタル』あた…

映画は夢というか悪夢である――『フェイブルマンズ』感想

「スピルバーグの自伝的作品」ということを念頭に入れる。 www.youtube.com これはたぶん、夢という名前の悪夢についての物語だ。 具体的な理由とまではかたまっていないが、自分のなかでは、長年ずっと映画礼讃映画というか、”映像の力を信じろ”系の作品に…

ジェフリー・フォード「創造」を誤読する。

タイトルの通りです。先日、個人的に参加している読書会で「創造」が課題短編となり、数年ぶりに再読しました。そこで考えたことを忘れないうちにメモしておきます。 【※本記事では、ジェフリー・フォード「創造」の内容に言及します。未読の方はご注意くだ…

ケンイチくんシリーズ再読メモ①「メンツェルのチェスプレイヤー」

・大学時代に感銘を受けた〈ケンイチくんシリーズ〉を読み直したい。 ・得るものがあるかはわからない。 ・ほんとうはネット上に作者が公開していた『デカルトの密室』参考文献リストをチェックしたいが、消えてしまっているのでわからない。 ・自分の知識は…

三原則の向こう側――『アイの歌声を聴かせて』が『イヴの時間』から受け継いだもの

※本記事は『アイの歌声を聴かせて』および『劇場版 イヴの時間』ブルーレイディスク特典ブックレットのネタバレを含みます。 未来、たぶん日本。 ”ロボット”が実用化されて久しく、 ”アンドロイド(人間型ロボット)”が実用化されて間もない時代。 ――『イヴ…

ふたたび青い悪夢②-『リズと青い鳥』とピンク色の研究

【※】本記事は、映画『リズと青い鳥』の内容に深く触れています。未見の方はご注意いただきますようお願いします。 saitonaname.hatenablog.com 私はあとを追いかけて力まかせに真実を吐かせてやりたいと思った。だが、それは私のやり方ではない。そう言った…

ふたたび青い悪夢①ー『リズと青い鳥』解釈における誤謬にまつわる話

【※】本記事は、映画『リズと青い鳥』の内容に深く触れています。未見の方はご注意いただきますようお願いします。 「鳥を見ていたんです。ほら、あそこに」 ――法月綸太郎『ふたたび赤い悪夢』(講談社文庫)より 2018年4月に公開されたアニメーション映画『…

百合SFの完成形の話 伴名練「彼岸花」を読んで思ったこと。

読み終わり、三時間ほど発狂していました。いまはあの、正気に戻り、鎮静剤を打ちました(だから正気です)。いまから伴名練「彼岸花」の気持ち悪い感想を述べたいと思います。小説を読み、人生でここまで打ちのめされたのは三度目くらいです(前回は円居挽…

正‐情念小説としての『刀と傘 明治京洛推理帖』個人解説

刀と傘 (明治京洛推理帖) (ミステリ・フロンティア)作者: 伊吹亜門出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る まだあまり情報が出せないのですが、来年1月の第三回文学フリマ京都にサークル「ストレ…

2016年度殺し文句大賞授賞式

「ほんとうの言葉は、いったん空になった船を見つけて、もう一度借りたときに生まれるのだ。」と『その姿の消し方』でつづったのは堀江敏幸であるのだけれど、自分はそのようなことばとの関わりを結べていないどころか、須賀敦子のように一トンもの塩をなめ…

リアル脱出ゲームと本格ミステリは相性が悪いのかについて思ったこと

きっかけは、もう二か月ほど前になりますが、ミステリ研のOB会にてリアル脱出ゲームの問題を試しにやってみたことです。挑戦したのは、「ある飛行機からの脱出」と「ある使徒からの脱出」。両方とも脱出ならず。5人が挑戦し、だいたい7割くらい回答してタ…

映画『永い言い訳』”The Long Excuse”(ネタバレ)感想メモなど

先日『映画 聲の形』を観、バケモノじみたカットの連続に打ちのめされてからというもの、ひと月ちかく劇場に足を運べなかったのですが、いい加減リハビリをしなくてはと思い。 映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light[形態A]アーティス…

『カメレオンVol.30』の感想

昨年のうちに読んでおこうと思っていたのですが、年末はばたばたしてしまい読めなかったので正月の読書に。DMSの機関誌『カメレオンVol.30』の個人創作についての感想を書きました。ネタバレを含んでいます。ので、気にされる方は読まれないようにしてくださ…

『カメレオンvol.29』の感想

文字の量に比べて字が小さくて読みにくいので、レイアウトを変えた。「naname」というらしい。せっかくなので使ってみた。 先月末、大学の学園祭で販売されたDMSの機関誌『カメレオンvol.29』を読んだ。 ここ数年、だんだんと漫画雑誌のように分厚くなってい…

DMS『かくれおん桜号』の雑感

この3ヶ月ほど、DMSが隔週発行している(と言っている)機関誌が本当に隔週で発行していた。 とわざわざ言うのも、いわゆる文芸サークルの傾向にも「書くほう」と「読むほう」の二種類があるからだ。そしてDMSは基本的に後者のほうが強い。この『かくれおん…