雑記

凪のあすからを誤読する7(9話)

というわけで続きです。今回も例にもれずいたたれなさがやってきます。これぞ『凪のあすから』です。やっていきましょう。 第9話 知らないぬくもり 前回のぬくみ雪が積もった地上。あかりと光は引き続き至の家で暮らしています。「地上に降ったりするんだな…

凪のあすからを誤読する6(7~8話)

というわけで続きです。 第7話 おふねひきゆれて おじょしさまが完成しました。オープニングです。 アイスをおごりたがる先生。「つーか先生、今日はアイスさみーよ、プールも中止になったんだぜ」前回に続いて寒さに関する発言が出ています。 「おふねひき…

凪のあすからを誤読する5(6話)

前回感動のフィナーレを迎えたような気がしましたが、物語は続きます。今回は輪をかけてつらいエピソードが盛りだくさんです。めげずにやっていきましょう。最後には感動が待っています。 第6話 巴日のむこう 縫い物をしているまなか。水着です。海村の人間…

凪のあすからを誤読する4(5話)

まだ5分の1にも到達してませんが続きです。今回は岡田脚本の台詞回しパワーが遺憾なく発揮される第一の盛り上がりでもあります。むろんパワーだけでなくテクニックもちゃんとあるのが見えてきます。盛り上げていきましょう。 第5話 あのねウミウシ 朝。台…

凪のあすからを誤読する3(4話)

本日2回目の更新。気合い入れていきましょう。 第4話 友達なんだから 前回衝撃の事実が明らかになってからの4話です。小学生たちの名前は美海(みうな)にさゆ。協力体制になるかと思いきや姉のことを思い出し、「美海みてーな卑怯なやり口は嫌いだ」と去…

凪のあすからを誤読する2(2~3話)

というわけで続きです。やっていきましょう。 第2話 ひやっこい薄膜 朝。呪いが解けたまなか。魚は「またね」と外へ去っていく。そしてうろこ様のもとに行き、「呪い、ますか?」と問いかけます。彼女の膝にはまだタオルが。 OP開けて教室。紡は呪いが解け…

凪のあすからを誤読する1(1話)

【注意!】このアニメには思春期の中学生のいたたまれなさが大量に含まれています! 心臓の悪い方、心の弱い方、感情の矢印が重ならないことに果てのない悲しみを覚える方は気をつけてください! というわけで本編です。知り合いにとりあえず4話まで見せたと…

凪のあすからを誤読する0(準備編)

担当作品のすべてを見たわけではありませんが、岡田麿里脚本にはなんとなく一長一短のある気がしていて、たとえば思春期の少年少女たちと性的なモチーフを執拗にくっつけようとする傾向は、面白さよりもむしろ執念めいたなにかを感じとるときがあり、素直に…

2019年ベスト姉ヒロイン大賞

少なくとも 姉は何かを失敗したことはなかったはずだ ――ゴブリンスレイヤー ベスト姉ヒロイン大賞とは、その年1月1日~12月31日までに発表されたアニメ作品(劇場作品も含む)のうち、姉に対する描写が特に優れていたものに贈られる賞です。2018年には『あか…

アニメ上の人間関係についての簡単な調査(2010年代アニメベスト語ろうのコーナー)

www.youtube.com でも大丈夫さ 誰も壊せないものがここに一つだけ 置いてあるから ――TRICERATOPS「2020」 2010年:『アマガミSS』 といっても最初はちゃんと、ぼくたちがほんとうに求めていたものはなんだったのかを考えなくちゃいけないだろうね。それは『…

ゼロを失った男の話

いつもなにかを失う予感がある、と彼女はそう言った。 ――『雲のむこう、約束の場所』 過去の真のイメージはさっとかすめ過ぎていく。それを認識できる瞬間に閃き、そしてその後は永遠に目にすることのないイメージ。過去はそのようなイメージとしてしか、し…

ふたたび青い悪夢②-『リズと青い鳥』とピンク色の研究

【※】本記事は、映画『リズと青い鳥』の内容に深く触れています。未見の方はご注意いただきますようお願いします。 saitonaname.hatenablog.com 私はあとを追いかけて力まかせに真実を吐かせてやりたいと思った。だが、それは私のやり方ではない。そう言った…

ふたたび青い悪夢①ー『リズと青い鳥』解釈における誤謬にまつわる話

【※】本記事は、映画『リズと青い鳥』の内容に深く触れています。未見の方はご注意いただきますようお願いします。 「鳥を見ていたんです。ほら、あそこに」 ――法月綸太郎『ふたたび赤い悪夢』(講談社文庫)より 2018年4月に公開されたアニメーション映画『…

百合SFの完成形の話 伴名練「彼岸花」を読んで思ったこと。

読み終わり、三時間ほど発狂していました。いまはあの、正気に戻り、鎮静剤を打ちました(だから正気です)。いまから伴名練「彼岸花」の気持ち悪い感想を述べたいと思います。小説を読み、人生でここまで打ちのめされたのは三度目くらいです(前回は円居挽…

第三回文学フリマ京都に参加します。

お知らせです。 saitonaname.hatenablog.com 上の記事にも書きましたが、2019年1月20日開催の第三回文学フリマ京都に参加します。詳しい情報は以下の通りです。 ストレンジ・フィクションズ 出店履歴 | すとれんじ ふぃくしょんず 小説|SF う-43 →配置図 (ev…

コミックシティ大阪118に参加します。

お知らせです。 大学サークルの先輩・後輩と一緒にノベルゲームをつくりました。いわゆるギャルゲー的な作品です。ミステリ要素もあります。現在絶賛デバッグ中です。 つきましては来年1月13日のコミックシティ大阪118で頒布します。 サークル名は〈留…

正‐情念小説としての『刀と傘 明治京洛推理帖』個人解説

刀と傘 (明治京洛推理帖) (ミステリ・フロンティア)作者: 伊吹亜門出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る まだあまり情報が出せないのですが、来年1月の第三回文学フリマ京都にサークル「ストレ…

姉ミステリ十戒(試論)

ただの個人的なたわごとです。 世界に(本格)姉ミステリが広がることを求めて。 といっても完璧な姉ミステリは存在しません。最強の姉ミステリはいまだ決まっていない。 ■1、姉は物語の当初に死んでいなければならない。 世界のルールです。これ以上に明確…

アイカツフレンズ!を誤読する。8話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。8話 みおのCM大作戦!トップアイドルとして、世間から注目が集まっているみお。 世界的に有名なクリエイターから声がかかり、マカロンのCMに抜擢される。 …

アイカツフレンズ!を誤読する。7話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。 7話 ミライへ続く道 ラブミーティアのミライからの指名で、あいねはドラマ『アイドルは魔女!』のゲスト出演が決まった。 練習を重ね、完璧にセリフを覚えた…

アイカツフレンズ!を誤読する。6話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。 6話 日向エマージェンシー!?日向エマは、同じプロダクション所属でひとつ年上の頼れるお姉さん。みんなで行くキャンプでも、リーダーシップを発揮する。一…

アイカツフレンズ!を誤読する。1話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。 1話 「ハロー フレンズ!」友希あいねはスターハーモニー学園の普通科に通う女の子。 中学2年生に進級する春休み、学園のトップアイドル・湊みおに出会う。…

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ その2

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ - ななめのための。注:前回のつづきです。この記事はネタバレと偏見を含みます。インタビュー記事などを参照した作品解析ではなく、自分が作品から受け取ったものをメモすることを…

私的アニメランキング(2018年5月時点(たぶんころころ変わる

なんだか近隣でアニメのオールタイムランキングを語るのがはやっているようなので便乗することにします。といってもほぼゼロ年代以降ですね、世代的に。■10位 氷菓 第18話 連峰は晴れているか せんじつメフィスト賞を受賞した作者がこれを見ていたそうなので…

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ

注:この記事はネタバレと偏見を含みます。インタビュー記事などを参照した作品解析ではなく、自分が作品から受け取ったものをメモすることを目的としています。原作は未読。 ・冒頭部、校門に入り、階段に座り込む鎧塚みぞれ。 →その後、足音とともに女生徒…

百合(漫画その他)を伝えるための51+1作品を紹介する。

タイトルの通りです。 ほんらい自分とはちがった価値観を持つ他者に魅力が伝わるようにするためには、まずなにより熱量がたいせつで、それ以外には適切な技術(相手にとっての勘所をおさえるような)があればよいとおもうのですが、どちらも手元になかった人…

志村貴子『わがままちえちゃん』を誤読する2

志村貴子『わがままちえちゃん』を誤読する1 - ななめのための。わがままちえちゃん (ビームコミックス)作者: 志村貴子出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2015/03/25メディア: コミックこの商品を含むブログ (20件) を見る ※本記事は、『…

志村貴子『わがままちえちゃん』を誤読する1

わがままちえちゃん (ビームコミックス)作者: 志村貴子出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2015/03/25メディア: コミックこの商品を含むブログ (20件) を見る※本記事は、『わがままちえちゃん』の作品内容について、細かく言及することを目…

ジャンルとしての百合とは

ここ一年ほど、なぜか「百合ってなんですか?」と訊かれることがとみに増えました。 それはつまり、ジャンルとして、もしくは市場のひとつとして、多くの人にとって「百合」という言葉が認識の外側から内側へとやってきた、ということを間接的に意味している…

タイトルのレトリックはいかに密造されたか

downyの好きなアルバムは、と訊かれたら『無題』と答えるのが無難ですね。というわけで、昨年末に読み散らした『タイトルとの魔力』という本がなかなか考えさせる内容に思えたので、メモ代わりにつらつらと書いていきたいと思います。タイトルの魔力―作品・…