また書くのをサボってしまった。月イチくらいなら書けるだろうと思ってはじめたのに、と思ってブログをさかのぼって確認したところはじめから月イチルールは守れていなかった……。例によって記憶に残ったものを。

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と、ここまで書いてきてトリックと探偵の相補的(共犯的)な関係を否定しつつヒーローとしての活躍を物語にする、という軸は自己言及だらけのミステリの枠組みで捉えると難しいけれども、単純な子供向け(?)番組ものとして考えると恐ろしくわかりやすいような。世界中にはガジェットというものが散らばってあって、ある気質をもった人がそれに触れると悪さ(犯罪)を起こす。ヒーロー(探偵)はその悪さを暴く。これだけならば勧善懲悪だけれども、そこからさらに善悪のない物語として封印(的なこと)をする、という一工程を入れると途端にニチアサ的雰囲気になるというか。いやニチアサにまったく触れていないのでほとんど偏見なのだけれども。また適度に入ってくるダークな設定(少年兵というかガンスリ的というか)にどうオトシマエをつけるのかは、やっぱり気になるところ。わかりやすい枠組みで書くのは楽だとしても、その分設定が浮いて最後はストーリーに跳ね返ってくるものだろうからそのあたりは期待したい。
それから重箱の隅をつつくようだが、前作『少年検閲官』と登場人物のもっている知識などに色々と齟齬がある。文庫改訂はしてくれるだろうか。

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以下は裏表紙からの引用。
推理小説は、驚きの文学です。(…)でも、ただ驚かせるだけというのでは、悪戯好きの子供と同じになってしまいます。紳士を相手にしている以上、こちらもフェアに騙さなければなりません。用意周到に伏線を張り、手掛かりをちゃんと残す、これこそが本格推理小説だと思います。
正しく。見習いたい。
あと合宿先にAVを持ってきた人物(一部シーンは女子に見られている)を推理する前振り的事件は、正直本編の殺人事件よりも公開処刑感があったので(個人差アリ)、アマゾンで微妙に高騰している本だとしてもちゃんと語り継ぐべき案件だと思った。

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与えられたカードの図柄に流されるとどうしても童話ふうな語りになりがちなので、慣れてきたらSF要素とかをわざと盛り込んで語りだすと話の規模や振り幅が増えて、楽しい人は楽しくなるのでオススメ。唯一欠陥なのは手持ちの結末カードによって難易度が変わることか(ハッピーエンドだとお話をまとめる手順が大変なのに対し、バッドエンドはストーリーがなかばでも問題なく終わらせることができる)。

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基本的な筋書きは自分の生まれの持つ血のために怪異に襲われる主人公とヒロインが手を取り合って立ち向かうという伝奇バトルもの。ストーリー本編のボリュームは個別ではあまり多くないものの、それぞれのルートで触れられる話が相関的に伏線となっていて、序盤から上手いミスリードを使ってくる。そのせいかふたりか三人ぶんくらいまで進めないと尻切れトンボ感が増す印象がある。あと本編よりも定期的に脱線して語られる伝奇的なウンチク話が割と面白いので、そのあたりを知らない人には新鮮に思われるはず。落語が好きな主人公というとすぐに北村薫が浮かぶけれども、たぶん関係はない。
百合もののゲームとしては恋愛ものというよりは家族をなくした主人公が新しい(親友・擬似家族的な)関係を結ぶ、というのがほとんどだけれども、血をテーマにしている伝奇ものであったことと、ヒロインとなるキャラクターもみな家族をなくしているというお話の背景があって、ストーリーに一応の普遍性ができていたのが一定の人気を得た作品になった理由なのかな、とプレイしていて感じた。
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現在テレビで放映されている『アイドルマスター シンデレラガールズ』の監督である高雄統子、シリーズ構成の高橋龍也が関わっていて、特に高雄統子という人が得意としている演出が割と有名だということを最近調べていてわかった。よく言われているのが、陰影の対比をうまく使って画面的に心情説明をする手法で、現在放映しているアニメシリーズにも使われている。けれども何回か見ていくうちにそういう手法だけに頼っているわけではなく、20人超の登場人物の関係性をいかに画面(カット)で説明するか、といったことを映画の尺で計算してつくっていることがなんとなくわかってきた。
とはいえこの作品にかぎらず、そういった映像手法を文字情報にうまく還元できないかと去年の春あたりからずっと考えている。以前、『イヴの時間』*2というSFアニメ連作で、流れている映像と登場人物の(心情・状況)セリフのシンクロをさせつつ、実はそのシンクロ自体がミスリードだったということをやられたことがあったためだ。似た手法を使ったものはないかとは思うのだけれども、自分が映像面の知識をもっていない、かつ意識的に見ていないと気づけない場合もあるので、なかなか見つけられないのが実情。変則的な叙述トリックに使えそうな気がするのだけれども。
ヒントはないかとスタッフコメンタリーを聞いていると、アニメキャラクターの表情は描く人によって変わるが、小物や手、足などはそれほど変わらないので心情を説明する演出に使える、というふうなことを監督や演出担当の方が言っていて感嘆した。言われてみれば当然なのだけれど、まったく意識していなかった。たぶん画面に映るもの=地の文というミステリ的な見方が自分のなかにあったとしても、写実からデフォルメまで、いかようにも描けてしまうアニメが地の文としての一貫性をどのように担保するか、というレベルまで考えが及んでいなかったからだと思う。アイドルマスターのテレビアニメシリーズでは極力イメージ背景(たとえば桃色のふわふわした背景)を使わないことであったり、シーンによってキャラクターをデフォルメさせないことを意識しているとか。
そういえば大橋崇行の『ライトノベルから見た少女/少年小説史 現代日本の物語文化を見直すために』(笠間書院)*3で細田守『おおかみこどもの雨と雪』について、花というキャラクターの内面描写(説明セリフ)がほとんどされないことと実写映画の手法が接近しているようなことが書かれていた気がする(うろ覚えだが)。実写映像での伏線とアニメ映像での伏線のもつ属性や情報量の違いについて考えると面白いかもしれない。