
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/01/04
- メディア: 文庫
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- 作者: 城平京
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/12/15
- メディア: 文庫
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ただ、捨て推理があまりにも「捨て」でありすぎるのはどうか、と思ってしまうこともある。プレイヤー(推理者)がネット上で各々の意見を交流させるという点では『うみねこのなく頃に』を思い出させるが、あれができたのはひとえに本編の持つ情報量の多さがあったからだ。『うみねこ』は極端にいえば、些細なセリフのつながりから読者がストーリーをでっち上げる想像力のゲームとして成り立っていたのだが、くらべて『虚構推理』はデータの総量があまりにも乏しい。ゆえに「捨て」推理ひとつひとつに肉付けが足りない、パンチ力(訴求力といってもいい)に乏しい展開となっている。
でっち上げる推理とデータ量の少なさについて言及するなら円居挽作品もそうだろうが、ルヴォワールシリーズであれば、核となる事件の情報量の少なさを、周辺情報の多さや、またそれを使ったミッシングリンクの穴埋め演出で補っている。そしてなにより、推理そのものの強度をストーリーや伏線が与えていたルヴォワールシリーズに対して、『虚構推理』はその多くを地の文に語らせることだけで終わらせている。これは、本質的な肉付けの弱さゆえにそうなっているのだろう。アイドルの死をめぐる推理合戦でありながら、どの推理も実体を持つことのない、どこか奥行きのない書き割りめいた印象を残してしまうのは、結局そういう部分にあるのだと思う。

- 作者: 鹿島田真希
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/21
- メディア: 単行本
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キャラやエピソードの脚色されたわかりやすさと、そこに対する作り込みのバランスは、この作者だからこそできたのであって、ほかの人が書こうとしてもなかなかできないと思える快作になっている。ちなみに野球要素は一切ないといってよい。あくまで青春を謳歌する登場人物らの背景の一部として。