アニメJust Because!を誤読する3

 それでは前回に引きつづいて、読み違えていきたいと思います。今回は物語がゆっくりと動き出す第四話です。ブン回していきましょう。

アニメJust Because!を誤読する1 - ななめのための。
アニメJust Because!を誤読する2 - ななめのための。



■第四話 Full swing


 OPがあけて相馬が苦手な犬を克服するレッスンです。受験勉強がありますが夏目はそこでも助け船。いじらしいですね。「初詣んとき、もう一度森川に告白する」と宣言する相馬。顔を伏せる夏目を見やる泉。その視線の動きを追うように、ワンテンポ遅れて小宮の視線も泉に注がれます。犬も心配そうに夏目を見ています。


 過去回想。二年一学期の中間試験。消しゴムを落とした夏目ですが、先生に言うことができません。そこに「やる」と相馬から消しゴム。これまで何度も描写されてきた例の消しゴムですね。ちなみに、一話の終業式の時点でも、相馬と夏目は隣の席だったようです(機会はあっても、ずっといえなかったわけですね)。その様子を後ろからながめている泉。気になる女子をつい目で追ってしまう泉くん。あるあるですね。どうもこの出来事が夏目の心に響いたようです。回想終了。

 コンビニ。「猫のお礼」といってミルクティー(㊑伊藤園)をおごる泉。律儀ですね。それから夏目の話へ。中学のときは「副会長とかやってた」。高校でも会長を務めていた彼女の性格(そしてすきなひと)は相変わらずのようです。そこで小宮は鎌をかけ、泉に夏目の「不器用なとこ」が好きだと白状させます。「それ、会長には絶対いわないほうがいいよー?」「……いうわけないだろ」

 湘南モノレール深沢駅まで小宮を送っていく泉。「泉先輩って……いいよね。すきだよ、わたしは。ひととして」(…)「不器用なとことか?」「僕は小宮さんが苦手です、ひととして」「よくいわれます。いまの調子で、会長にも告白すればいいじゃん」「だから」「苦手って告白するよりいいと思うよ、ひととして」秘密を握っている小宮のほうが一枚上手です。引いたカットからもそうした関係性が伝わってくるようです。また、こういう揚げ足を取っていく会話スタイルは鴨志田一先生っぽさ*1があっていいですね。

 そして話は初詣へ。柏手を打つ相馬の右手にはマメが。一話でもあったように、引退後も野球をつづけていたようです(おそらく後輩をしごいていたのでしょう)。そして階段。こちらでも相馬は上手に出られない様子が伝わってきます。

 スーパー前で待ち合わせしている泉と夏目。「家の用事は済んだの?」「そっちは受験勉強サボり?」と、二話の水族館の待ち合わせ時に泉と相馬が会話した「そういや今日ってさ、急な用事で来られなくなかったほうがよかったやつ?」を夏目が画策したようです。涙ぐましいですね。そこに夏目姉が登場。以前からの知り合いのようです。「じゃあ、美緒のこと。よろしくね」と意味深な台詞。いっぽう夏目は姉への素直な態度に対し「わたしにはお世辞いわないんだ……ふーん」(「……いうわけないだろ」が本人の心境。泉くんに50のダメージです)。

 小宮家。ぶっ倒れているのは兄のようです。年越し時でも写真をあちこちに広げてチェック中。「違うし、彼氏なんていない」「つまんねー高校生活だな」「わたしがいま面白ければいいの……だから、絶対廃部なんてさせない」と恋愛感情は皆無のようです。

 スマホのディスプレイに「あけおめ」のライン。明確に言わずとも、前後の文脈から、アイコンのカメラだけで連絡元が視聴者に伝わるのがいいですね。
 ちなみに、夏目は飼っている犬、相馬は野球部のバッグ、森川はトランペット、乾は陸上部のシューズとそれぞれの個性がアイコンに出ています。泉のはこの回の冒頭、相馬の写真を送ったときに見えますが、半分だけです(彼の中途半端さや、隠れている気持ちが反映されている、といったところでしょうか)。さらにポニーテール夏目。すこし頬が赤くなるあたりがほんとうに泉くんですね。

 というわけで泉、夏目、乾もお祈りタイム。ちらりと夏目を見やる泉の向こうには、ハート型の絵馬が。ふたりとも恋愛で頭がいっぱいですね。

 必勝祈願を後輩から頼まれた乾とはそこで分かれ、ふたりになる泉と夏目。相馬の話題には「さあ」と文字通り目をそむけている泉。

 いっぽうツインズの話をうれしそうに相馬に話す森川。電車が森川→相馬の方向に走っていくのが見えます。

 恋みくじの結果。夏目は末吉。泉は吉。恋愛運については「再会の暗示」(泉くんに100のダメージです)。「いいのか」「そりゃあ、末吉はよくないって」「そうじゃなくて、陽斗のこと」とようやく泉が夏目に当時の思いを憶えていたことをさりげなく明かしています。そして階段へ。

「中学からずっとだよ。こじらせすぎでしょ」(…)「全然、よくないだろ。それ」「なにが」「必死に、受験を言い訳にしてさ」「言い訳なんかじゃ……吉のくせにえらそう」「末吉よりはいいし」と泉が夏目のメンタルをここぞとばかりに殴っていきます。ここでも階段の上下がふたりの関係性を暗示していますね。

 そこで「泉には関係ないじゃん!関係ないんだから黙ってて!」と夏目の反撃。思わずかっとなり「なんだよ、それ。おれだって、ずっと夏目のこと……!」といったところではっとする泉くん(「いうわけないだろ」パワーがここでも発揮されます)。握った手をそっと下ろします(柏手のときにマメを見せた相馬とは対照的に、手のうちは隠れています)。「中学のときから、知ってるんだからさ、関係ないは、ないだろ」(そういえば第二話のクラゲゾーンでも「(筋肉痛は)関係ないじゃん」という夏目の台詞がありました。泉くんに300のダメージです)と悲しげな表情。

 それと並行するようにふたたび相馬と森川へ。「すきだ!つきあってほしい!」と相馬が気持ちを伝えます。今度は相馬→森川の方向に電車が走っていくのが見えます。さきほどとの対比ですね。


 思いは届かなかったため、反対方向へと帰っていく相馬。そして夏目を残し先に階段をおりていく泉(隠れた気持ちはすり抜けてしまいました)。とそれぞれトボトボと歩いていくふたり。感情の行き場をなくし、さみしそうに立ちすくむ夏目さんでエンディングです。


 それでは次回も頑張って読み違えていきたいと思います。よろしくお願いします。

アニメJust Because!を誤読する4 - ななめのための。