- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 単行本
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そちらについてはだいぶ前に書いた雑文があるので以下のリンクを参照していただくとして。ミステリ短篇深夜徘徊その4 北村薫「ビスケット」 - ななめのための。
ただこの短編集の作品、とりわけ「遠い唇」や「しりとり」になるのだが、これらは小さな謎であるからこそ、探偵の不在が前提とされる物語であるともいえる気がする。人生におけるささいな、けれどもその当人にとって重要な意味を持つ謎は、名探偵による快刀乱麻を断つような解決ではなく、ちょっとした気づきによってもたらされる。「しりとり」ではその当人ではなく、他者が解いてみせたときに生まれる素朴な感動が描かれている。そこでなされる感謝のことばの重さは、北村薫だからこそ書けるものであるのだなといまさらながらため息をついてしまった。また表題作もそうした類の素朴さをあわせ持つ先輩ミステリだ。
- 作者: 安田剛助
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: Kindle版
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九鬼周造 理知と情熱のはざまに立つ〈ことば〉の哲学 (講談社選書メチエ)
- 作者: 藤田正勝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ところでミステリにおいても偶然というのは必然と対比されつつも包括されるような特殊な関係にあり、「無いことのできる」ことを意味する九鬼の偶然性、あるいは存在論に関する視座はそこにある種の転換をもたらしてくれるのではないかと思うので、もうすこし自分なりに考えていきたい問題だと思う。
- 作者: 浜田秀,日比嘉高,井上優,西田谷洋,川本玲子
- 出版社/メーカー: ひつじ書房
- 発売日: 2012/09/19
- メディア: 単行本
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