2017-01-01から1年間の記事一覧

摂取(に失敗した)記録

今年も残すところわずかばかりとなりましたが、すこしずつちいさな感覚をなくしてしまったことを、酢昆布のようにかみしめていきたいと思います。あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一出版社/メー…

今年読んだ創作本(再読含む)

一度の小説の書き方について頭のうちで整理をしたいと思い、さいきんになって読み直すなどしていました。また、どういったシナリオ指南本を読んでいるのか、と聞かれることも比較的多くなったので、まとめることにしました。以下はそのリストとそれを読んだ…

アニメJust Because!を誤読する5

今回も誤りつづけていきたいと思います。よろしくお願いします。ようやく折り返してからの7、8話です。彼/彼女らのこじらせはとどまるところを知りません。 [Blu-ray]" title="Just Because! 第4巻 [Blu-ray]">Just Because! 第4巻 [Blu-ray]出版社/メー…

アニメJust Because!を誤読する4

引きつづき、また過ちをおかしていきたいと思います。今回は第五話、第六話。年を越して、みんな気まずい雰囲気からのスタートです。頑張るぞい。 [Blu-ray]" title="Just Because! 第3巻 [Blu-ray]">Just Because! 第3巻 [Blu-ray]出版社/メーカー: NBCユニ…

アニメJust Because!を誤読する3

それでは前回に引きつづいて、読み違えていきたいと思います。今回は物語がゆっくりと動き出す第四話です。ブン回していきましょう。 [Blu-ray]" title="Just Because! 第2巻 [Blu-ray]">Just Because! 第2巻 [Blu-ray]出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エ…

アニメJust Because!を誤読する2

[Blu-ray]" title="Just Because! 第1巻 [Blu-ray]">Just Because! 第1巻 [Blu-ray]出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン発売日: 2017/12/22メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (7件) を見るななめのための。 前回に引きつづき…

アニメJust Because!を誤読する1

TVアニメ『Just Because!』は現在絶賛放送中、脚本・構成をライトノベル作家の鴨志田一、キャラクターデザインを比村奇石が担当する作品です。原作者による小説版(メインキャラクターのふたりを視点としたもの)も発売されており「あいつを好きな君の横顔が…

どんぐりを拾うように、

この一年ほど、須賀敦子の文章に手を伸ばしていることが多くなった。 作家としての須賀敦子をはじめて意識したのは、kindleのセールで割引されていたときだったと記憶している。内容紹介を見てなぜか書評集と勘違いし、そのため肩肘の張っていないタイトルと…

推理小説に内面化された世界の終わり、ドン・キホーテの憂鬱

※このブログ記事は、二〇一七年、某所にておこなわれた読書会のレジュメを改稿したものです。ヒーロー!作者: 白岩玄出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/03/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 白岩玄という作家をご存知だろうか。…

摂取記録

映画の授業―映画美学校の教室から作者: 黒沢清出版社/メーカー: 青土社発売日: 2004/04/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (28件) を見る 先日精華大学で黒沢清監督の講演会があったとのこと*1で、いけなかったけれど気になっ…

TVアニメ『アイカツ!』入門講義:第0夜

そこは小さな、といっても、大学生がふだん授業を受けるために使われるのに比べては、という意味でだが、狭い部屋だった。 場所は半地下といった趣で、地上階と同じ高さに顔を出している磨り硝子の窓からは、うすぼんやりとした光が差し込んでいる。白、とい…

摂取記録

書きそびれていたので、また書く。ツタよ、ツタ作者: 大島真寿美出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2016/11/25メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 帯が表紙の画を活かすようにデザインされていたのが気になったので、昨年末に買って読…

寂しいネットで拾遺する―ミステリ漫画落ち穂拾い―

ミステリマガジン2017年7月号*1の特集のミステリ漫画50選があまりにも選出意図がわからず書店で戸惑ってしまった(『最終兵器彼女』や『ガンスリンガーガール』を紹介するのはちょっといかがなものかと思った)ので、自分の本棚から目についたミステリの漫画…

2016年度殺し文句大賞授賞式

「ほんとうの言葉は、いったん空になった船を見つけて、もう一度借りたときに生まれるのだ。」と『その姿の消し方』でつづったのは堀江敏幸であるのだけれど、自分はそのようなことばとの関わりを結べていないどころか、須賀敦子のように一トンもの塩をなめ…

ある労働と背表紙の話

唐突ではあるけれど、自分にはおよそ一年間にわたって、大型書店のいちアルバイターとして仕事をさせていただいた経験がある。もちろん比較的責任のすくないアルバイト戦士*1とはいえ労働であることに変わりはなく、作業がルーチン化していくにつれて自然と…

告知です。

2017年1月22日に「京都市勧業館みやこめっせ」にておこなわれる第1回文学フリマ京都に参加します。 サークル名は「関西ミステリ連合OB会」。 場所は「あ-13〜14」。頒布する冊子は以下の通りとなります。 自分は先日アップロードしました、認知…

続・認知物語論からミステリを考える

認知物語論から推理小説の探偵を考えてみる - ななめのための。のつづきです。というより自分がここ数年考えてきたことをとりあえずまとめてみないか、という打診をいただきましたので、とりあえず書いてみました。 上記のリンクの部分もまとめていますので…