2013-01-01から1年間の記事一覧

ミステリ短篇深夜徘徊その3 大山誠一郎「佳也子の屋根に雪ふりつむ」

前回の最後に書いたように、「偶然」について扱おうと思っていた。 自分が本格ミステリ(のようなもの)を読んだり、書いたりするなかで、謎の人工性とリアリティの問題を何度も耳にし、どういうものか、一度考えてみたかったからだ。特にこの短篇は、ネット…

ミステリ短篇深夜徘徊その2 有栖川有栖「除夜を歩く」

前回から続く、『カメレオンvol.29』に載せたエッセイその2。 今回は前回の久生十蘭のように読み込むというのではなくて、解説・紹介に近い文章を書いた。というのも、『江神二郎の洞察』が出てから半年以上経ったのにもかかわらず、サークル内でここで語ら…

ミステリ短篇深夜徘徊その1 久生十蘭「黒い手帳」

『カメレオンvol.29』に、「ミステリ短篇深夜徘徊」と銘打って、エッセイを四つ、書かせてもらった。内容としては国内のミステリ短篇について。ネットでよく言われていることと自分が考えていることにどうも違和感を覚えたことと、そして会員同士でもっと推…

『カメレオンvol.29』の感想

文字の量に比べて字が小さくて読みにくいので、レイアウトを変えた。「naname」というらしい。せっかくなので使ってみた。 先月末、大学の学園祭で販売されたDMSの機関誌『カメレオンvol.29』を読んだ。 ここ数年、だんだんと漫画雑誌のように分厚くなってい…

安倍吉俊「ラナの世界」のこと。その1

以前、安倍吉俊のSFミステリ「ラナの世界」について触れようと思っていたのだが、気づいたら思い立ってから二ヶ月以上も経っている。8月・9月ごろは、サークルの機関誌『カメレオン』に載せる小説などのモチーフとなる本を繰り返し読んだり拾い読みしたりす…

2013年10月

新刊奴隷ちゃんの旅は続くらしい。貴族探偵対女探偵 (貴族探偵)作者: 麻耶雄嵩出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見るタイトルほど対決している感じがなかったのが。女探偵の推理を貴族探偵の推理が…

2013年8月

理由あってかまいたちの夜シリーズを再プレイしたり、新刊を読んだり。百年祭の殺人 (論創海外ミステリ)作者: マックスアフォード,定木大介出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/05/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る『魔法人形』の作者…

「ペーパー・ドラゴン」を新訳してみたついでにオススメする。

サークルで一般には頒布しない、会内誌をつくろう、という話を5月あたりに同期としていた。 そのさいほかの会員がまったく読まないような小説をつかってクロスレビュー小説を書くという企画が立ち上がり、自分が同期に無理やり読ませたのがジェイムズ・P・…

2013年5月

読んでもすぐ忘れていく日々。上旬ごろなにをよんだのか覚えていない。無限のドリフター 世界は天使のもの (電撃文庫)作者: 樹常楓,崎由けぇき出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2013/05/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (…

かくれおんリレー小説第二話

かくれおん―旅立ち号―に掲載。 他の人が考えた話に上乗せする形で話を続けていく、つまりはリレー小説企画というものをやっていて、その第二話を担当した。急に変な言い回しや、アニメのネタが出てくるようにしたのは前作者の話に乗っかったため。ラノベ調?…

2013年1月

昨年の秋あたりから読書ノートを始めたのだけれど、一冊につき一頁にしていたせいか書評臭い何かでしかなく気持ち悪い。のでブログでゆるりと。ゆるゆると。 老害になったので推理小説を読まなくてもよくなった。冥土めぐり作者: 鹿島田真希出版社/メーカー:…

飲食店にて

かくれおん―田辺追悼号―に書きました。 恩田陸『Q&A』の形式って、大抵、調子乗ってるヤツがやりたがる印象。 それで、あなたは本当にそこに住んでいたんですね。 「ええ、もう一年以上も前になりますが……」 その話、詳しくお聞きしてもいいでしょうか。 「…