2013年5月

読んでもすぐ忘れていく日々。上旬ごろなにをよんだのか覚えていない。

J・G・バラードの小説が好きなの。この人はとても心地のいい終わりを書く人でね。例えば廃墟だとか、世界が結晶化して滅んでいく様子だとか。灰色の世界をきれいに描くのよ」
そう主人公に言葉をつむぐヒロインがこの作品には出てくる。いくつものSFのタイトルや作者をもじった固有名詞が作中に出てくる。作者あとがきにもSFが出てくる。著者近影にもSF(青背)が出てくる。
とはいえ偏愛だけで世界を終わらせるのは難しい。三年後くらいにハヤカワが拾えばいい。

おわりの雪 (白水Uブックス)

おわりの雪 (白水Uブックス)

日常は反復とわずかな変化の積み重ねで構成される。主人公が寝たきりの父に語るのはいつもおなじ物語。けれど、そのたびに物語はちがう顔をみせるし、語る側も聞く側もそのつど変化していく。

鳥葬 -まだ人間じゃない- (ガガガ文庫)

鳥葬 -まだ人間じゃない- (ガガガ文庫)

一度壊れてしまった人間あるいは人間として認められないやつが結べる関係はどのくらいあるのかというとそれほど多くはなくて、ヤママユを盗んだ男の子がエーミールに謝りたくても謝れなくなった場合どうすればいいかというとなにもできることはなかったりするし、探偵よろしく事件を解明してもばらばらになった標本や死体は元通りなるどころからさらにグロテスクになるだけだったりする。

翻訳教室 (朝日文庫)

翻訳教室 (朝日文庫)

翻訳調が嫌いな人がいるように翻訳調が好きな人もいて、もしあなたが後者の部類に属しているならば読んで損はしないと思う。
翻訳文のセオリーやら日本→英訳の面白さとか。

新装版では最終話が削除されて、書き直しやらデジタル処理やらがされる。一話だけ描きおろしのストーリーが入る。
おそらく時代設定を新装版の出版時に合わせたのだと。そのぶん主人公が自分の時代を自覚したときの重みが減ってしまう。
でもわたしたちは夏目友人帳がよみたいわけじゃないからJコミで旧版をよんだほうがずっといい。

必要なことはどうしてその結論にいたったかであって、経緯を説明することが50分にも満たないなかでできているかというと実はできているんだけど、みせかたが巧妙なせいでつかみづらいし、お話としてはそんな劇的でもないのに劇的な演出がなされてしまっているから余計にややこしい。もしかしてこれ演出の破綻ってやつか。
とはいえ登場人物にとっての都合のよさというものがコミュニケーションからディスコミュニケーションへと変化する展開は面白いし、物語の伏線を回収したかとおもいきやすぐさま引きちぎっていくのもよかったとすら思う。ハッピーエンドもどきを受け入れない姿勢は正しいと思うからこそ、あともう一歩がほしい。



あとミステリスピリットにあふれている(先輩言)らしいのでコードギアス反逆のルルーシュとその第二期をみた。
絶対遵守のギアスをつかったアリバイトリックその他。一部分はなんだかエセ心理トリックっぽい気もした。