映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ その2

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ - ななめのための。

注:前回のつづきです。この記事はネタバレと偏見を含みます。インタビュー記事などを参照した作品解析ではなく、自分が作品から受け取ったものをメモすることを目的としています。原作は未読。

・差異と反復について
→とにかく多い。
→物語冒頭、大きく吸って、息を吐くみぞれ。
→物語終盤、大きく吸って、息を吐くのぞみ。

→物語冒頭、靴の先をこつん、と合わせるみぞれ。
→リズの物語のなかで、靴の先をこつん、と合わせる青い鳥。


・赤い実について

→いちばん最初のカットから画面には映っているが、彩度はそれほど高くない。
→そのあと、すぐに奥のリズと動物にピントが合う。観客はそちらに集中する。
→初見ではなにが重要かわからないため、気づかないようになっている。意図的なものか。


・のぞみのピンクの腕時計について
→赤い実に比べて、とにかく目立つようなカットが前半部に集中している。
→下駄箱をさわる手(おなじ場所をさわるみぞれ)。
→給水機(ウォータークーラー?)のボタンを押す手(おなじ場所をさわるみぞれ)。

→音大について三年生四人で話したあたりから、意図的に隠すようなカットが増える

「なんかさあ。みぞれ、わたしによそよそしくない?」
→だれかによって隠れるカットがかなり増える。
→ただし、演奏中は両手を隠すことができなくなる(自身の演奏力がそのままむきだしになってしまう)。

→生物室でのみぞれとのぞみの対話。

「わたし、みぞれが思ってるような人間じゃないよ?」
→言いながら、腕時計を隠すように握る。
→目をそらすようになっていたことの暗喩か?


・ピンク色(赤い実≒才能?)をめぐる話

→タイトルコール。
→おなじく「disjoint」も白地にピンク(最後のjointは黒地に白)。

→リズの翻訳本(岩波文庫風)もピンク(岩波の外国文学は「赤」という表記、色はピンク)。

→ピンクは非凡(才能)を示す証なのかどうか?


・のぞみのクロスと青い羽根について
→「かわいい」と後輩たちからこぞって言われる。
→しかし、画面には映らない。
→その会話を耳にしたみぞれは、のぞみから受け取った青い羽根を使うようになる。
→後輩の剣崎からは「綺麗」と言われる。対比か。
→「かわいい」は後半、後輩の会話内でフグのような「かわいさ」に格下げされる。
→ピンク≒凡庸さの象徴に変わった?
→第三楽章演奏後、みぞれの視線の先にフルートと青いクロス、そこにはピンクの刺繍(アップリケ?)が。
→のぞみのクロスはこの数秒しか映らない。
→非凡さを身に着けようとしたが、そうはならなかった?


・ピンクの腕時計はのぞみの他者に対する優越感の現れ?
→隠す≒そこから目をそらす?


→しかし終盤は自然と隠れたり、見えるようになったりする。
→受験の問題を解くのぞみ(演奏時と同義という扱いか?)
→下校するふたりのシーンでも時計は隠れる。

→ラストシーン直前も、ガードレールによって隠れる。


■その他気になった部分
・新山先生とリズの物語について話し、気づいた瞬間。
→鍵(窓?)の開く音。
→サントラ「stereo, bright, curve」1:18〜。

・受験参考書の貸し出し履歴
→「新山」の文字が見える(正確には不明)
→劇中、新山先生の過去については語られず(北宇治出身ではあったか)

・それぞれの進路が分かれたのち、終盤に流れる楽曲「wind, glass, girls」
→のぞみの中学時代、鞄の中身の揺れるかしゃこしょした音が入っている。2:51〜。

・フグ
→設定集によれば「ミドリフグ」とのこと
→稚魚?