『百合小説アーカイヴ(仮)』を考えていくためのブックリスト75冊+α

【※本記事は2023年9月10日(日)開催の文学フリマ大阪にて、サークル〈ストレンジ・フィクションズ〉で頒布する予定の同人誌『百合小説アーカイヴ(仮)』の参考文献リストです。】

 

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『百合小説アーカイヴ(仮)』とは

『百合小説アーカイヴ(仮)』とは、大正期から令和までの約110年のあいだに発表された、あまりネットで語られていない「百合小説(中短編)」およそ60作を扱ったレビュー・ガイド本のことです。単純な言及作品数だけでいえば、100作近くになっているかと思います。

 筆者は自分(織戸久貴)です。今年2月に出た『百合小説コレクション wiz』(河出文庫)著者紹介テキストの作成協力をしたりしています。

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本記事について

 現状、『百合小説アーカイヴ(仮)』の詳しい内容についての告知がまだあまりできないのと(なぜなら絶賛作業中なので)、筆者がどういうスタンスで作成しているのかの説明がとても難しいことに気づき、いったん参考文献リストを先行掲載することにいたしました。

 要するにブックガイド・レビューとして言及する作品そのものではなく、それを読み解いたり、調べたりするときに参照した書籍のリスト、ブックリストをつくるためのブックリストというわけです。全体像とまではいかなくとも、どのようなイメージで取り組んでいたかが伝わるかもしれません。

 自分は文学研究の手ほどきをちゃんと受けた人間ではないため、適切な調べ方も読み方もできていないのですが、それでもこのリストが〈百合〉というジャンルをすこしでも考えていくための置き石になっていれば幸いです。

 それでは、以下、ご笑覧ください。コメント等はありません(なぜなら絶賛作業中なので)。よろしくお願いいたします。

 

 

ブックガイド・文学評論

1.柿沼瑛子・栗原千代編著『耽美小説・ゲイ文学ブックガイド』白夜書房、一九九三年

 

2.日本文学協会、新・フェミニズム批評の会 編『『青鞜』を読む』学藝書林、一九九八年

 

3.岩田ななつ『文学としての『青鞜』』不二出版、二〇〇三年

 

4.藤森かよこ編『クィア批評』世澱書房、二〇〇四年

 

5.岩渕宏子・北田幸恵編著『はじめて学ぶ日本女性文学史【近現代編】』ミネルヴァ書房、二〇〇五年

 

6.千野帽子『文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて』河出書房新社、二〇〇六年

 

7.『百合作品ファイル』百合姫BOOKS、一迅社、二〇〇八年

 

8.菅聡子『〈少女小説〉ワンダーランド――明治から平成まで』明治書院、二〇〇八年

 

9.新・フェミニズム批評の会『大正女性文学論』二〇一〇年、翰林書房

 

10.新・フェミニズム批評の会編『昭和前期女性文学論』翰林書房、二〇一六年

 

11.岩淵宏子・菅聡子久米依子・長谷川啓『少女小説事典』東京堂出版、二〇一五年

 

12.嵯峨景子『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』彩流社、二〇一六年

 

13.嵯峨景子・三村美衣・七木香枝『大人だって読みたい! 少女小説ブックガイド』時事通信社、二〇二〇年

 

14.小山静子・赤枝香奈子・今田絵里香・編『セクシュアリティの戦後史』京都大学学術出版会、二〇一四年

 

15.飯田祐子『彼女たちの文学 語りにくさと読まれること』名古屋大学出版会、二〇一六年

 

16.伊藤氏貴『同性愛文学の系譜 日本近現代文学におけるLGBT以前/以後』勉誠出版、二〇二〇年 

 

17.斎藤美奈子『挑発する少女小説河出新書、二〇二一年

 


18.Erica Friedman『By Your Side: The First 100 Years of Yuri Anime and Manga (English Edition)』 Journey Press、二〇二二年(電子書籍

 

19.小平麻衣子『なぞること、切り裂くこと 虚構のジェンダー以文社、二〇二三年

 

20.嵯峨景子『少女小説を知るための100冊』星海社新書、二〇二三年

 

21.飯田祐子・小林麻衣子編『ジェンダー×小説ガイドブック 日本近現代文学の読み方』ひつじ書房、二〇二三年

 

 

文学全集

22.『[新編]日本女性文学全集第六巻』六花出版、二〇一八年

 

23.『[新編]日本女性文学全集第七巻』六花出版、二〇一八年

 

 

 

作家論・作家研究・評伝

24.丸岡秀子田村俊子とわたし』中央公論社、一九七三年(リンクはドメス出版)

 

25.瀬戸内晴美田村俊子講談社文芸文庫、一九九三年

 

26.沢部ひとみ『百合子、ダスヴィダーニヤ 湯浅芳子の青春』女性文庫、学陽書房、一九九六年(リンクは文藝春秋

 

27.羽鳥徹哉・原善編『川端康成全作品研究事典』勉誠出版、一九九八年

 

28.岩淵宏子・北田幸恵・沼沢和子編『宮本百合子の時空』翰林書房、二〇〇一年

 

29.平林たい子林芙美子宮本百合子講談社文芸文庫、二〇〇三年

 

30.伊豆利彦・澤田章子、岩渕剛・羽田澄子・須沢知花・辻井喬『いまに生きる宮本百合子新日本出版社、二〇〇四年

 

31.橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』新潮文庫、二〇〇五年

 

32. 柏木薫・志村 有弘 ・久坂葉子研究会『神戸残照 久坂葉子勉誠出版、二〇〇六年

 

33.瀬戸内寂聴孤高の人ちくま文庫、二〇〇七年

 

34.黒澤亜里子編著『往復書簡 宮本百合子湯浅芳子翰林書房、二〇〇八年

 

35.『文藝別冊 三島由紀夫〈増補新版〉』KAWADE夢ムック、二〇一二年

 

36.『文藝別冊 瀬戸内寂聴』KAWADE夢ムック、二〇一二年

 

37.阿部浪子『平野謙のこと、革命と女たち』社会評論社、二〇一四年

 

38.『文藝別冊 氷室冴子』KAWADE夢ムック、二〇一八年

 

39.『文藝別冊 橋本治』KAWADE夢ムック、二〇一九年

 

40.『ユリイカ 総特集 瀬戸内寂聴青土社、二〇二二年三月臨時増刊号

 

41.嵯峨景子『氷室冴子とその時代 増補版』河出書房新社、二〇二三年

 

歴史、文化研究

42.本田和子『女学生の系譜 彩色される明治』青土社、一九九〇年

 

43.米田佐代子・池田恵美子編『『青鞜』を学ぶ人のために』世界思想社、一九九九

 

44.佐藤八寿子『ミッション・スクール』中公新書、二〇〇六年

 

45.稲垣恭子『女学校と女学生』中公新書、二〇〇七年

 

46.今田絵里香『「少女」の社会史』勁草書房、二〇〇七年(リンクは新装版)

 

47.渡部周子『〈少女〉像の誕生――近代日本における「少女」規範の形成』新泉社、二〇〇七年

 

周辺参考文献

48.リリアン・フェダマン『レスビアンの歴史』富岡明美・原美奈子訳、筑摩書房、一九九六年

 


49.利根川真紀編訳『女たちの時間 レズビアン短編小説集』平凡社ライブラリー、一九九八年

 

50.綾奈ゆにこ『ちいさい百合みぃつけた』角川書店、二〇一四年

 

51.大橋洋一郎監訳、利根川真紀、磯部哲也、山田久美子訳『クィア短編小説集 名づけえぬ欲望の物語』平凡社ライブラリー、二〇一六年

 

52.森山至貴『LGBTを読みとく クィアスタディーズ入門』ちくま新書、二〇一七年

 

53.『現代思想二〇二〇年三月臨時増刊号 フェミニズムの現在』青土社

 

54.『Over』Vol.2、オーバーマガジン社、二〇二〇年

 

55.平林美都子『女同士の絆 レズビアン文学の行方』彩流社、二〇二〇年

 

56.竹村和子『愛について アイデンティティと欲望の政治学岩波現代文庫、二〇二一年

 

57.はらだ有彩『女ともだち ガール・ミーツ・ガールから始まる物語』大和書房、二〇二一年

 

58.村山敏勝『(見えない)欲望へ向けて クィア批評との対話』ちくま学芸井文庫、二〇二二年

 

59.エリス・ヤング『ノンバイナリーがわかる本――heでもshedもない、theyたちのこと』上田勢子訳、明石書店、二〇二一年

 

60.藤高和輝『〈トラブル〉としてのフェミニズム 「とり乱させない抑圧」に抗して』青土社、二〇二二年

 

61.イン・イーシェン 、リベイ リンサンガン・カントー編『イン・クィア・タイム アジアンクィア作家短編集』村上 さつき 訳、ころから、二〇二二年

 

62.清水晶子『フェミニズムってなんですか?』文春新書。二〇二二年

 

63.岩川ありさ『物語とトラウマ クィアフェミニズム批評の可能性』青土社、二〇二二年

 

64.ショーン・フェイ『トランスジェンダー問題』高井ゆと里訳、明石書店。二〇二二年

 

65.ひらりさ『それでも女をやっていく』ワニブックス、二〇二三年

 

66.アンジェラ・チェン『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』羽生有希訳、左右社、二〇二三年

 

67.周司あきら・高井ゆと里『トランスジェンダー入門』集英社新書、二〇二三年

 

ウェブ掲載論文ほか

・加藤明日菜「日本文学の中のレズビアン : 日本近現代文学における女性同性愛表象研究の方法論試案 (ロザリー・レナード・ミッチェル記念奨学金論文)」

cir.nii.ac.jp

・「大正時代における女性同性愛を巡る言説 : 「同性の愛」事件と吉屋信子花物語』を中心に」

cir.nii.ac.jp

 

・趙書心「「畸形」を仮装する : 田村俊子「春の晩」における女性同性愛表象」

cir.nii.ac.jp

 

・呉佩珍「「青鞜」同人をめぐるセクシュアリティー言説 : 一九一〇年代を中心に」

cir.nii.ac.jp

・鄒韻「『乙女の港』における少女表象」

cir.nii.ac.jp

・本橋龍晃「性的体験としての戦時下 三島由紀夫「春子」論」

www.jstage.jst.go.jp

 

・大森郁之助「「春子」と「暁の寺」の間の虚空 : 三島由紀夫のlesbianismの位相についての一仮説」

sapporo-u.repo.nii.ac.jp

 

・木谷真紀子「三島由紀夫「班女」論 : 能楽「班女」と日本古典文学における〈花子〉と〈実子〉の系譜」

cir.nii.ac.jp

 

・大理奈穂子「傷ついてなんかいない ― 『ルビーフルーツ・ジャングル』のレズビアン・ヒロインと1960年代アメリカ社会 ―」

cir.nii.ac.jp

・赤枝香奈子「女同士の親密な関係にみるロマンティック・ラブの実践「女の友情」の歴史社会学に向けて」

www.jstage.jst.go.jp

・南木義隆「百合とリヴァイアサン」 

bessatsu-bunshun.com

 

 

読む時間がなかったり手に入らなかったけど読みたかった本たち

68.ジュディス・バトラージェンダー・トラブル』青土社

 

69.ミシェル・フーコー『性の歴史Ⅰ~Ⅳ』

 

70.イヴ・K・セジウィック『男同士の絆』名古屋大学出版会

 

71.川口和也『クィアスタディーズ』岩波書店

 

72.『読むことのクィア中央大学出版部

 

73.『愛の技法――クィア・リーディングとは何か』中央大学出版部

 

74.小平麻衣子『文芸雑誌『若草』――私たちは文芸を愛好している』翰林書房

 

75.赤枝香奈子『近代日本における女同士の親密な関係』角川学芸出版

www.kadokawa.co.jp

 

文学フリマ大阪11公式サイトbunfree.net

 

サークル〈ストレンジ・フィクションズ〉SNSアカウント

 正式な告知は以下でおこなわれることになりますので、よかったらフォロー等お願いいたします。

twitter.comnote.comstrange-fictions.booth.pm

 

織戸久貴のしごと・その他

novel.pixiv.net

 それでは夏が終わるころに、お会いしましょう。

 

 

 

エンディング:warbear「夏の限りを尽くしたら」


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