京都SFフェスティバル2019のアフターレポートを書く

以下の文章は2019年10月12~13日におこなわれた京都SFフェスティバルの個人レポートです。

わたしは何者か?

 第9回創元SF短編賞に「夏の結び目」という作品を応募し、大森望賞をいただいた者です。織戸久貴(おりとひさき)といいます。

 大学時代は京都にある推理小説研究会のひとつ*1でミステリを読んだり書いたりしていました。SFはたまに読んでいました。読書会で『都市と都市』を課題本に設定したのに当日だれも読み終わってない状況で泣きそうになりながら作者の逮捕歴を語ったり、『ノーストリリア』に出てきたのとおなじ固有名詞が杉井光作品にも出ていたな、とぼんやり思っていたりしていました。SFプロパーではないです。今期アニメでは『ぬるぺた』*2がすきです。優しくしてください。

 京都SFフェスティバルには2017年の本会に一度参加したくらいで(ジーン・ウルフ『書架の探偵』の話が聞きたかった、若島正先生の解釈がめちゃくちゃ面白かった)、合宿はSFの濃い人しかいないと脅されて怖くて行くことができなかった勢です。いやだって、知らない人がほとんどの場所に行くのって結構心が折れるじゃないですか。特に自分はSFの人間ではないと思っているフシがあったので、心理的ハードルがあったわけです。そういう人向けにこの記事を書いています。そのような不安が取り払われるといいと思っています。

saitonaname.hatenablog.com

 ところで自己紹介のつづきです。『ミステリーズ!』vol.95や『おうむの夢と操り人形』等に掲載された第10回創元SF短編賞の選評に”「夏の結び目」(PDF版が無料公開中)”と書かれていて、おや、となった目敏い方。上記リンクに飛べばそれが読めます。昨年6月に公開しました。内容を簡単にいいますと、一部の都市が水没した未来世界で『エンジン・サマー』や推理小説が鍵となる仮想空間SFです。なんだそれは。

 第10回創元SF短編賞にもこりずに作品を応募し、最終選考に残って賞を逃したところ、知人であるところの千葉集さん(同賞にて宮内悠介賞を受賞*3)と「せっかくだしそれぞれの応募作が読める同人誌つくりませんか」と話すことになり、ツイッターでたまたま知り合っていた谷林守さん(同賞にて日下三蔵賞を受賞)にも声をかけてみることに。

 そうして紆余曲折あってできあがったのが、

note.mu

 上記リンクの 『あたらしいサハリンの静止点』です。

 そして、京都SFフェスティバルで初頒布だ! と意気込んだのはいいものの台風19号の出現・接近により京フェスじたいそもそも開催できるのか? どうなのか? しかし頒布する同人誌は印刷会社から合宿会場に直接送るよう手配してしまったぞ! もうどうにもならないのでは? と焦ったのが前日夜までの話です。すでに記憶が曖昧なので以降書き記す内容が事実であるかどうかはわからないです。よろしくお願いします。

 

本会直前まで

  自分は関西在住だったので、当日になって新幹線の運休や見合わせなどに影響を受けることはなく会場の神宮丸太町駅周辺へたどり着きました。10時から11時ごろの京都は風と雨がまだまだ微妙で穏やかなものでした。

 会場に到着し、すでに椅子に座っていた千葉集さんに挨拶。そして谷林守さんにも挨拶。お互い同人誌の打ち合わせなどのためネットを介して声だけは知っていたのですが、谷林さんと直接顔を合わせるのははじめてでした。ほんとうに会えてよかったですね……。

 と、ここまで書いて気づきましたが、上記の内容では「お前結局ソロプレイじゃないやんけ」と思われる可能性が大なので釈明をします。

 基本的に京フェスの本会は一か所に集まってゲストの方々の話を聞くだけなので、参加のハードルはめちゃくちゃ低いと思います。気になる作家や翻訳者、編集者などの話がまとめて聞けるぞ、学割もあるぞ、と親切設計なイベントです。ときおり書店などで作家によるトークショーがおこなわれることがありますが、その開催時間や招かれるゲスト数が何倍かになってかつSFメインでやっている、という豪華なイメージですね。2017年に参加した、と前述しましたが自分はそのときはほぼソロの状態で来ていました*4。やることといえば受付で名前を書いて参加費を払って名札をもらうだけ*5なのでビビるようなイベントではないです。

 毎回立ち見が出るほどの盛況ぶりと聞いていたのですが、今回は開会直前になっても空席がぽつぽつとありました。やはり台風の関係で参加できなかった人が多かったのだと思います。到着できない方向けにライブ配信をできるようにした運営はすごいですよね*6。学生時代、ミステリ研の企画による作家の講演会を何度かお手伝いしたことがありましたが、そこまで考えてやったことはありませんでしたから……。SF研はやはり技術的に進んでいる……。

  

本会①:実験小説を語る

 ゲストは木原善彦先生と藤井光先生です。まず最初に、木原先生がわかりやすい実験小説の例としてブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』を挙げていたのが印象的でした。題材そのものではなくテキストの周辺情報である「速記文字による」といった言葉などによって、文章の性質や取り扱い方が既存の小説とは異なってくる、という意味合いにおいて実験小説の系譜にあたるということですね。

 続けてその子孫として挙げられたのが”Shadows in the Asylum: The Case Files of Dr. Charles Marsh”。精神病院のカルテ等が活字ではなく資料の複写といったかたちなどで本にまとめられ、それぞれの情報を拾っていくことで何が起きているかを把握する小説だそう。アーカイヴを集めて真相を推理するものはミステリ系のゲームなどでよく見る印象があります。個人のイメージなので実態はわかりませんが……。物理的な推理小説であれば「捜査ファイル・ミステリー・シリーズ」*7が近いだろうか、などと思っていました。

Shadows In The Asylum (English Edition)

Shadows In The Asylum (English Edition)

 

  いっぽう藤井先生は、実験がギャンブルとして成功すると面白い、という視点に立って語っていました。翻訳されたものであればサルバドール・プラセンシア『紙の民』やマーク・Z. ダニエレブスキー『紙葉の家』など。藤井先生はプラセンシアに次作の構想としてひとつひとつのページがすべてバラバラになりながらどの順番でも読める本?(紙の入った箱?)をつくりたい旨を聞いたそうです。

紙の民

紙の民

 
紙葉の家

紙葉の家

 

  またプラセンシアの理想に近い作品(元ネタ?)として木原先生が B. S. Johnson の”The Unfortunates”を持ってきていました。これも箱入りの本で、複数のセクションに分かれているそうです。検索してみたらウィキペディアがヒットしました。The Unfortunates - Wikipedia。記憶がテーマになっていて、その想起のランダム性がおそらく造本の形式やストーリーにオーバーラップしていくのかな、と。

  ほかにも『ものすごくうるさくてありえないほど近い』がすこし前に映画化したジョナサン・サフラン・フォアの”Tree of Codes”(ブルーノ・シュルツ「大鰐通り」の文章を削って新しくつくった小説、墨塗りではなくページから文字を切り抜きまくったという凝りすぎた造本)や福永信『アクロバット前夜』、スティーヴ・エリクソン『エクスタシーの湖』、ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』、Deepak Unnikrishnan”Temporary People”(インド系の作家なのですが、英語で教育を受けて? 書いている。大量に職業名の単語のみを並べて社会の様相を説明する章があったりする)などを紹介。

 なんとなくこの”Temporary People”の言葉の扱う位置などは以前に藤井先生が『ターミナルから荒れ地へ―「アメリカ」なき時代のアメリカ文学 』で提唱されていた「ターミナル言語」の話の延長にあるような気がしました。実際には違うわけですが、アメリカ移住者や第二言語(英語)で小説を書く人たち独特の言葉遣いとか、言葉を一歩離れたツールとして使い倒していこうという気概といいますか。

エクスタシーの湖

エクスタシーの湖

 
Temporary People (Restless Books Prize for New Immigrant W)

Temporary People (Restless Books Prize for New Immigrant W)

 

 このあたりまで、メモ用紙を忘れていた自分は京フェスのプログラムブックの余白にひたすら書名を書きなぐっていたのですが、普通に話が面白くて手が止まりました。以降のコマではメモを取ることを諦めました。そのため今後さらに真実性が薄まっていきます。ツイッターの限られた文字数での簡潔な文体の小説(いまは英語は280字だが以前は140字だったはずなのでかなり切り詰めた文章でないといけない)などが紹介されていました。

 また翻訳レクチャー、というかたちで四行ほどの英文の翻訳を事前に募り比べていくという企画もおこなわれました。翻訳対象はいわゆる子供向けのローマ字に親しむ本(知育用?)にあった”FERN”(シダ)と題された文章。四文字それぞれからはじまる文章があって四つ全体を通して”FERN”の説明になっている、というもの。日本にもありますよね、「あ」なら「あかい」りんごとか「あかい」消防車とかが描かれていたりする絵本みたいなやつです。

 各参加者の翻訳が紹介されたのち、藤井先生による訳も出されたのですが、その精度の高さに会場から拍手が送られたのがハイライトでした。バイオリンの先端にあるくるくる部分(≒シダ)を日本人にとってわかりやすくするために「柴犬のしっぽ」(だったと思う)に意訳したりと、頭を柔らかくしないと出ない感覚だなあ、翻訳者ってすごいなあ、と小学生みたいな感心の仕方をしていました。

 

昼休憩

 知り合いと合流し、昼食へ。外に出た途端、風で某氏のビニール傘が瞬殺されたのには笑うしかありませんでした。たぶんこの時間がいちばん台風のパワーを京都で感じていた気がします。また今回の京フェスには千葉集さんの後輩さんも何人か来ていて(いっぽう自分の後輩はだれひとり来ていないという人望、つながりの弱さ)、そのうちひとりが学生時代このあたりで過ごしていたこともあったという。いいご飯屋さんありますか、と訊ねてみる。それなら、ということで、

tabelog.com

 上記リンクの味見庵へ。大盛り無料がうれしいサービス。自分はそんな食べられないので大盛にしませんでしたが、学生街っぽい雰囲気がなんだか懐かしくもありました。というか京大周辺は馴染みがないと昼食探すのにも苦労しそうですね。ほんらいなら事前調査をすべきでしたが、同人誌と台風のことで手一杯でなにも考える余裕がなかった。後輩氏の采配に感謝。

 

本会②:アリスマ王vs魔術師 小川一水×小川哲対談

  前述の通りメモ(をする気力)が尽きたので記憶を頼りに。ほぼ『アリスマ王』の話はせず、小川一水先生が小川哲先生の来歴や創作姿勢を聞きまくるという時間でした。小川一水先生は『天冥の標』完結に際して去年の京フェス2018でゲストとしてたくさん語ったので、今回は小川哲先生のおもしろいところを引き出してやろう、という魂胆だったようです。

 そしてその魂胆は間違いなくアタリで、『嘘と聖典』収録の複数作に何度も出てくる父親モチーフについて作者の実体験とどのくらい落差があったのかであったり、学生時代に書いた小説のことであったり、岩波文庫を筋トレのように毎日読んでいたことでスタンダールが相対的にめちゃくちゃ面白く感じられたがそれゆえ罪悪感を覚えてしまったことなど(どういうことだ)、面白エピソードが尽きない不思議な時間でした。

 どちらかといえば作品の個別の内容に踏み込むというより作者の来歴やものの見方が一部見えてくる、といった印象で、なにをどうインプットしてあのようなホラ話群がアウトプットされるのか、という補助線が引かれていったような気がしました。小川一水先生の質問力といいますか、作家としての姿勢や興味がそれを暴きたい、というレベルにまで達していて、なかなかスリリングな時間でもあったように思います。

 とりわけ中間地点を省いて結論部のみすらすらと話していく頭の回転の速さが小川哲先生には何度も感じられて、あの小説のテンポ感はもしかして地で出しているのか……? 個人的に内心でおののくなどしていました。よくよく考えたら『PEN』に載せるからって「最後の不良」が出てくるのはやっぱり怖いな、すごいな、と思いました(小学生並みの感想)。

  最後にそれぞれの刊行予定や新作の構想などについて。小川一水先生は相変わらず壮大なスケールの話を書こうとしているのと『アステリズムに花束を』に収録されていた「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 」の長編版(連作短編?)について、そして新作ミステリ(!)というのがうれしい告知でした。SFメインで読んでいる方だとあまりミステリ系の作品に向かわないかな、と思ったりもするのですが、小川一水先生の場合ミステリの要素をSFの設定やスケールで調理したお話を書くこともあって、それがめっぽう面白いんですよね。あきらかに悪いことをしてきた人が死の間際になると決まって急に善人になり遺産を分配していくのはなぜか、という謎を女の子と親戚のうさんくさいおじさんのふたりで解こうとする「くばり神の紀」(『トネイロ会の非殺人事件』に収録)とか。

トネイロ会の非殺人事件 (光文社文庫)

トネイロ会の非殺人事件 (光文社文庫)

 

  小川哲先生はやっぱりといいますか、一足飛びの思考回路のホラ話を語っていました。とあるクイズ王の効率的な記憶の仕方についての小川哲先生なりの仮説というかアイデアを聞く限り、『嘘と聖典』収録作レベルかそれ以上のものがぽんぽん出てくるんじゃないかと思うわけでワクワクが止まらないですね。こういう新作情報をすこしでも早く生の言葉で聞ける、というのもイベントならではという感じがします。小説すばるの連載「地図と拳」も難航しているようですが、まとまったら読みたいですね。

小説すばる2018年10月号

小説すばる2018年10月号

 

  

 本会③:ホラーとSF――「未知」を描く2ジャンルの交点

 ゲストは小林泰三先生と矢部嵩先生。とにかくなんでも書くものを「SF」と思って書いている小林先生と反対になんでも「ホラー」と思って書いている矢部先生が互いに距離を測り合いながら会話していくうち、だんだんとふたりの波長が合いはじめこれはなんだかすごいものを聞かされているぞ……という一時間強でした。

 基本的には小林先生が前コマの小川一水先生のようにインタビューアーのような立ち位置から矢部先生の各作品を紹介し「あれはどういった発想から?」と個別に質問していくかたちで進んでいきました。とりわけ矢部先生の作品を小林先生がSF的な視点から考察していくのが新鮮でした。ほとんど小林先生版『〔少女庭国〕』別解みたいな話になっていき、 これがジャンルの交点……! という状態でした。

 とはいえ、いま現在『保健室登校』や『魔女の子供はやってこない』がアマゾンで地味に高騰しているのが惜しいな、とも思いましたね……。広く読まれてほしい。各位は電子書籍のほうで読んでください。『〔少女庭国〕』とはまた違ったテイストの暴力にやられること間違いなしなので。

  後半に差し掛かると今度は矢部先生から小林先生への質問が増えていきます。矢部先生の落ち着いた口調で「人体を破壊したり人を殺していくのがお好きでいらっしゃるんですか」と聞くシーンで会場が爆笑に包まれ、その後もナチュラルに滔々と小林先生とその残虐な描写への愛を語っていくのが印象的でした。そして気づけば矢部先生の会話のテンポ感が観客側全体にも浸透しており、直接参加してその場の空気を味わってないと得られない稀有な体験になっていたように思います。

 質問タイムではそれぞれの書くモチーフや個別の描写に対してどう自覚があるのか、といったことについて聞かれ、作品を書く姿勢について聞けたのが嬉しかったです。「イマジナリー小林泰三」先生を矢部先生が召喚しているのも影響下にあるからこそ独自進化した描写になっているのだな、と納得感のある話が聞けました。

 また余談ですが、クロージングのさい、千葉集さんおよび某先輩といっしょに、矢部先生にご挨拶へうかがいました。というのもすでに四年前、自分たちは矢部先生にお会いしたことがあったからです。

amf.hatenablog.com

 詳しい経緯は上記のリンクに(関西ミステリ連合OB会なる組織として自分は企画のお手伝いをしていました)。風のうわさではありますが、今回の小林先生と矢部先生の対談の遠因に、矢部先生が小林先生への愛を講演会で公に語ったことがあった、と伝え聞きました。ほんとうかどうかはわからないんですが、そうだったらいい話ですよね。この講演会の模様を記録した文書が世界には少部数だけ存在しており*8、いつかなにかのめぐり合わせで現物を見ることがあればこれがあの……と思っていただけると幸いです。矢部先生は相変わらずお優しい方でした。

 以上で本会は終了。これだけもかなりいろんな生の声が聞けたわけでかなりお得でした。未経験の方もまずは本会だけでも参加すると楽しいと思います。心細いなら友達をひとりでも無理やり誘っていくと気持ちはだいぶ緩和されます(これはほんとうにそうです)。作品を多く読んでなくとも楽しく聞けた、という人の話はよくうかがいましたので、これを読むきっかけにしていくこともできるでしょう。ハードルはどんどん低く下げていきましょう。

 

本会閉会後~夕食~合宿まで

 まだ風はありましたが、台風の勢いはだいぶ収まっていました。合宿会場から離れるとな、ということになり昼に食べたメンバーの一部と近くのからふね屋珈琲へ。迷ったらここに行けば失敗はない、の気持ち。カレーとかカツとかをみんなで食べる。

 なんとなく最近読んだ漫画の話に。ちょうど一週間くらい前にくずしろ『永世乙女の戦い方』が出ていました。個人的にはすでに『りゅうおうのおしごと!』がプロ棋士女流棋士奨励会の話を小説で十冊以上やっているという先例があるので、今後の差異化をどうはかるのか気になりますよね、と話す。『りゅうおう』で椚創多というどこかで聞いた名前の敵が出てくるのですが、そいつはAI将棋世代で一手ごとの評価点数を参照していたり、脳内で将棋盤の画像をつくらず棋譜の字を考えるだけで深く読んだりするんですよ、面白くないですか、と千葉集さんに伝えたところ、さっきの小川哲先生の仮説っぽいですね、と返してくる。たしかにデータを捨象して効率化計算しようとする(人間が機械を真似ていく)のはSFっぽい。

  とはいえせっかくだし、夕食のさい知人だけで集まらず知らない方も誘えば面白かったですね、コミュニケーション力が自分にあればよかったのに……(これから十五時間くらいずっとそのことを悔やむようになる)。京フェス参加するんですがご飯たべる人誘ってください、とツイッターでつぶやけば心優しいSFファンの方が来てくれていたかもしれないのに……。そこまで頭が回らなかった……。

 

 合宿:オープニング~①②

 合宿所となる旅館に到着。ほんとうに本会会場のすぐそばにあったんですね。同人誌の入ったダンボールも無事届いていることを確認。直前に大学ミス研の方から文学フリマ会場に機関誌を配送したはずがBOX(部室)に送ってしまい、当日虚無を売ることになった、という経験を聞かされていたので正直気が気でなかった……。

 旅館内部はかなり入り組んでいて、事前に館内見取り図を渡されていたのにまったく空間が把握できませんでした。ほぼ迷路。二階に上がるのに階段が複数あってそれぞれの先が分断されていたり、110と書かれた部屋なのに階段を経由しないとたどり着けなかったりします。毎年参加しているという某氏からは、とにかく行って覚えるのがベストですよ、と優しい顔で諭されました。

 そしてオープニング後には『あたらしいサハリンの静止点』の頒布。前述のリンクでも書かれていましたが、第10回創元SF短編賞日下三蔵賞、宮内悠介賞、最終候補作(自分のやつです)、そしてさらに新作三編の入った分厚い同人誌(370p)です。

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頒布時の写真。『劇場版ハイスクール・フリート』をよろしくお願いします。

 正直台風などの影響もあってそんなに参加者も多くないだろうからあまり買われないんじゃないか、と思っていたのですが、頒布開始から列が形成されるほどで、大変ありがたいことでした。無事搬入分は完売。拝謝いたします。なにより表紙イラストを担当してくださったのは『アリスと蔵六』の今井哲也先生!(すごいぞ!)。

 今井哲也作品をまだ読まれたことのない、という方におすすめなのは団地SF夏ジュブナイルの『ぼくらのよあけ』(全二巻)ですね。近未来、オートボットというロボットが家庭に普及しつつある世界で地球外からやってきた宇宙船(いまは団地になっている)と子供たちが出会って――というひと夏の冒険感のあるお話。とくに細かい描写がよくできているんですよね。たとえば学校に子供たちは当然のように携帯を持ってくるわけなんですけどマナーモードではなくスクールモードというかたちで送受信のうち受信だけができるモードに設定されたりする、とか。そういうディティールの在り方がとても考えられているので読んでいて素直に物語に入り込むことができる作品です。

 ほかにもすすめたいのは、ある日女の子がいつも見ていた郵便ポストが消えていたことに気づき、そこから日常のズレを意識しはじめてついには記憶の宮殿に迷い込んでいく、というすこしふしぎで鮮やかな読後感の短編「ロスト・イン・パレス」。これについては知り合いに読ませたところいい反応しか返ってこなかった傑作なのでぜひ。ヒバナ電子版で読むことができます*9

ヒバナ 2015年6/10号 [雑誌]

ヒバナ 2015年6/10号 [雑誌]

 

  また今回自分や千葉さん、谷林さんはディーラーズスペースという場所(大広間)での同人誌頒布をすることに決めていたので、合宿企画のすべてを聞くわけではなく、シフトをつくり売り子をしていました(自分は1と2コマ目が担当)。ふつうの参加者はぞろぞろと各自が気になっている企画部屋に向かっていて、ちょっとうらやましかったりしました。

 合宿企画も基本的には担当者の話を座って聞くスタイルなのですが、その場で意見や質問をフレキシブルに交換できる場なので、そこにいる参加者全員で企画をやる、という印象が強かったです。もちろん聞きに徹する、というのも全然アリなのでハードルといっても参加そのものよりも宿泊することじたいへのハードルさえ取っ払えば割に入っていきやすい場所なのかな、という気がします。

  企画がおこなわれているあいだ、店番している谷林さんと雑談。『あたらしいサハリンの静止点』収録作「八月の荼毘」を書くさいに谷林さんは『終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅』を参考にしたとのことで、当日自分はその一巻を読んでいました。『終わりのセラフ』本編から八年前、世界がいかに滅亡したかを書くというエモーショナルな設定で、本編だと教官的位置にいたキャラクターが前作主人公のようなかたちで活躍する話です。谷林さんから、これがここで本編だとこうなっていくんですよ……とそっと教えられ、アァーッ! それ最高ですね! さっさと続き読みます! となりました。みんなも読もう。

 ついでに『終わりのセラフ』イラスト・漫画担当の山本ヤマト先生は一時期牧野修作品の表紙イラストを描いていたことはSFファンなら知っている方も多いと思うのですが、じつは数ページのPVふうSF漫画も描いていたんですよね。憑依都市っていうんですけど、と話を振っていく。えっ、あの憑依都市ですか。あの憑依都市です。

SF Japan (Vol.10(西暦2004冬季号)) (Roman album)
 

 《憑依都市 The Haunted》プロジェクトは山田正紀牧野修津原泰水森奈津子瀬名秀明吉川良太郎によるシェアワールドSF企画で、基本的な概要についてはSFJAPAN2004年冬季号を読めばわかります(原稿用紙240枚の合作資料小説「The Scripture 聖典」、作品内年表、キャラ設定資料、座談会などなど)。

  簡単に設定をいうと、地獄(イオ・ミヒ、量子コンピュータによって実在が立証される)からやってきた存在に人類が次々憑依され怪物になって世界がめちゃくちゃになる、という伝奇ふうSFですね。いっぽうで研究者たちは人間を実験体として使い脳に特殊な腫瘍をつくり地獄を認識する手段を探っている……。

 そのなかでジル・ド・レの憑依体となった少年が暴走し神奈川県Q市をさらにめちゃくちゃにしてしまう。ジル・ド・レは触れたものをカバラ錬金術(!?)でゴーレムのように変異させるのですが、そうして暴れた結果、周囲がティフォージュ城と現実のビルのモザイク状の建築に成り代わるというトンデモぶり。そんな混乱の起きたなか、さらにジャンヌ・ダルクの聖痕を持つ少女が現れて……という話。

 これをかいつまんで吉川良太郎先生が外連味たっぷりに語り、それを山本ヤマト先生がイラスト漫画にしている、と伝えたら案の定、めっちゃおもしろそうじゃないですか! と反応をいただけてなによりでした。そのあとさらに某氏がやってきて吉川良太郎が好きなら「ぼくが紳士と呼ばれるわけ」もいいですよ、とご教授いただきました。19世紀フランスを舞台にアルケミーパンクをやろうとした作品だそうです。めっちゃおもしろそう。さっそく注文しました。

  企画が終わるたび、ぞろぞろと参加者がまた大広間に戻ってきます。合宿から来ていた知人に、どうでした、と訊ねると、世界のSF情報がモリモリ集まってめっちゃ読みたくなりました、といわれました。特に今回は2コマ目までに「英語圏SFの部屋」「東京創元社と最新海外SFを語る部屋」「東北大SF研、中国SFを大いに語る」があり3コマ目には「魔術的リアリズムに見るSF――ラテンアメリカ文学部屋」もありましたから多国籍感がかなりあったのではないかと思います。自分も聞きたかった。とりあえず参加した方にどんな話があったのかちょっとだけ教えてもらうなどしました。あと世代は違うものの、自分とおなじミステリ研の先輩が合宿に参加していてびっくりするなどしました。世間は狭いですね。

 

合宿③:魔術的リアリズムに見るSF――ラテンアメリカ文学部屋

 詳しい内容とについては企画側でもあった谷林守さんがレポートに書いてくれています(こっちのほうがずっと丁寧です)。

note.mu

  企画者本人たちが種本ですといっていましたが気になった人は寺尾隆吉『ラテンアメリカ文学入門』と『魔術的リアリズム』を読むと基本的な概観は掴めるだろう、という印象でした(あくまで寺尾史観。とはいえ自分は積んでいますが……)。ラテンアメリカ文学と呼ばれる作品群をなにから手に取っていけばいいのか、といった話から個別の作品の読みどころ、各国の政治情勢や作家の立ち位置、翻訳状況などについて詳しく語っていただきました。

魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)

魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説 (水声文庫)

 

  また基本的にSFの話だったので触れられることはありませんでしたが、ボルヘス『伝奇集』収録の「死とコンパス」は観念的ミステリの大傑作だと思います。あとボルヘスひとりだけで書いているとすごい肩肘の張った出来になる印象がありますが、カサーレスとの共作だとチェスタトンやポーをパロディにしたような軽妙な味わいのミステリなどもあって、そういうのから入っていくと文章の複雑さとかに苦労したり挫折したりせずに読めていけるのかな、とも思いました。魔術的リアリズムか、というと全然そんなわけではないのですが……。

ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件

ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件

 

  クロージングのさいにとある大学SF研の方?(だとおもいます)が、日本作家でラテンアメリカ文学の影響を受けた人はいるか、と訊ねられていたので、自分は石川宗生『半分世界』を挙げました。 どこまで影響関係があるのかわかりませんでしたが、とくに「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」はかなりその雰囲気がある印象の作品だと思います。いま調べたら飛浩隆先生によるインタビューで「とくにメキシコやグアテマラでのスペイン語留学のとき、文学コースで学んだラテン文学は現在の作風の基礎になった気がします。」*10と答えていますね。

 とりあえずそう伝えたところ、代わりにドミトリー ・グルホフスキー『Metro2033』とその続編が面白いので読んでください、といわれました。ラテンアメリカ関係ねえ、でも気になる。ありがとう大学SF研の方。たしかゲームにもなったやつですね。アマゾンで検索したらストロガツキー『ストーカー』がいっしょにサジェストされたのがちょっとおもしろかったです。

半分世界 (創元日本SF叢書)

半分世界 (創元日本SF叢書)

 
Metro2033 上

Metro2033 上

 

  また補足ですが、ラテンアメリカ文学の叢書《フィクションのエルドラード》全レビューがなされた同人誌があるそうです。今回企画者の方々がごっそり関わっています。自分は関係者分っぽいやつを奪い取るように京フェス合宿会場で買わせていただきました*11。ほかにもカルヴィーノ評論やレイナルド・アレナス論、ウェルベック論なども入っておりかなりおすすめの同人誌です。ネットで買えます。

booth.pm

 

合宿④:2019年の神経科学とフィクション

 神経、自由意志……えっと準備電位とかですか? くらいの知識しかなかった自分だったのですが終始質問や意見が飛び交っていてとにかくその場にいるだけでなんか色々な知識が飛び交っていて楽しい、という空間でした。基本的な内容は以下のリンクが公開されています。

scrapbox.io

 治療とかに使われる技術や方法がどうしてそうなるのかはわからないが、とりあえず結果が出せているのでやっている(バグ技か?)みたいな話やfMRIがフィクションで描かれるほど万能というわけではない、といった話などは大変興味深かったです。終始へー、とかほー、とか、とにかくうなずきまくっていた記憶があります(わかっていない)。

 それからベンチャー企業Neuralinkの開発したBMIのなにがどう画期的だったのかを説明していただけたのはかなり助かりましたね。いつまでもこういう話を聞いていたい。

 最後に神経科学と関連性のあるフィクションについて。草野原々「幽世知能」はそういう文脈にあるとはわかっていなかったので(ほんとうに恥ずかしながら)、なるほど~、と思うなど。主に挙がった作家はグレッグ・イーガンテッド・チャン、ピーター・ワッツ、ダリル・グレゴリイなど。グレゴリイは『迷宮天使』以外に「二人称現在形」という短編がSFマガジンに掲載されていたんですね。国内作家だと、伊藤計劃長谷敏司、伴名練。神経科学をフィクション内で昇華していくさいの描写についてどこまで実際の科学に近くするべきか、などといった話も出て、そういう点でも刺激を受けました。

 SF周辺の話題になると、とにかく楽しくワイワイヒートアップしていく部屋で、もっとSFが読みたいな、と自分も改めて思いました。

S-Fマガジン 2007年 01月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2007年 01月号 [雑誌]

 

 

合宿:全コマ終了後~朝まで

 予定されていたすべてのコマが終わり、寝る人は寝部屋へ。自分は大広間でほかの企画部屋に参加した人と内容を交換したり、サンデー連載漫画の話や『まちカドまぞく』、『グランベルム』の話をしていました。いやあのアニメ両方とも面白いんですよ。お話の途中までで語られていたものが一気にガラッと雰囲気を変える恐ろしさが両者にはあるし、おすすめです。

 とくに『グランベルム』は魔術ロボットバトルロイヤルもので、生き残ったひとりが願いをかなえることができるっていう結構手垢のついた設定でそのあたりはまあ大味ではあるんですが、とにかく主人公のキャラ造形とストーリーをしっかりやって13話でまったく違う景色に連れていってくれたのがいい。百合パワーも強いし、終盤はニュータイプ思想バトルに(冗談ではなくほんとうに)なるし……なにより9話の戦闘特殊BGMがドビュッシーのピアノなんですよ!!! いやほんとうにめちゃくちゃいい……。みんなも見よう。

granbelm.com

 そのあとオキシタケヒコ先生、麦原遼先生と谷林守さんを含めた何人かが話している場所に合流。オキシ先生はとにかく楽しく明るく話してくださる人で、自分は「プロメテウスの晩餐」の続編めっちゃ楽しみにしてます! とファンムーブをするだけだった……。いやほかにも話しましたが……。白土三平の忍者ものがいわゆるファンタジーではなく地に足のついた説明でやっていたことがSF読者になる経験になった、と嬉しそうにオキシ先生がおっしゃっていて、この人はほんとうにSFがすきなんだなあ、と改めて圧倒されるなどしました。「ミステリは最後に風呂敷を畳んで一点に収束しますけど、SFは最後にボールみたいにバウンドするんですよね」(記憶は曖昧)と語っていたのが印象的でした。

ミステリーズ!Vol.86 (ミステリーズ!)
 

  だいぶ各人が眠くなって去っていくなか、自分と谷林さんがよくわからないフェイズに入って(というか自分だけが一方的に入って)、アイデアとかセンス・オブ・ワンダーをどう捉えたらいいのかわからないんですよね、という話をした記憶があります。

 念頭にあったのは森下一仁『思考する物語』のセンス・オブ・ワンダー≒異化効果をどう捉えるべきか、だったんですが書名が思い出せなくて曖昧な言葉しか使えず、変な絡み方になってしまったのは猛省しています。ほんとうにすみませんでした。そのあとも某氏に、この文体が~、と説明になっていない説明をどう考えても自分よりもずっと理解しているであろう相手に向かってはじめるのはほんとうによくありませんでしたね……。その節はほんとうに申し訳ありませんでした……。

 自分が言いたかったのはSF読者はなにを以て「これがSFなんだ!」と思うのか、あるいはSFとしてどこに興奮を覚えるのかがわからない、といったところで、うまく谷林さんがキャッチしてくれて山本弘トンデモ本? 違う、SFだ!』を紹介してくださったのはすごい助かりました。先日ようやく注文したのが届き、とりあえずまえがきを読んで、あ、これはいい本だな、と感じています。ほかの方でも、こういったSFを知れる本があったらご紹介いただけるととても嬉しいです。

思考する物語 SFの原理・歴史・主題

思考する物語 SFの原理・歴史・主題

 
トンデモ本?違う、SFだ!

トンデモ本?違う、SFだ!

 

  しばらくして広間に戻ってきたオキシ先生からSF漫画を調べているという某氏を紹介されました。持っていたのは雑誌『奇想天外』のSF漫画大全集(別冊、細かい号は失念しました)。そこに載っていた手塚治虫小松左京の対談をぱらぱら見せてもらいこのふたりに共通点などがあるといった話。京フェスはどこに行っても詳しい人がたくさんいてすごいですね……。ついでにこのあたりのSF漫画入門編として米沢嘉博『戦後SFマンガ史』や上級編として奇想天外のまんが評論連載に加筆を入れた小野耕世『長編マンガの先駆者たち』を教えていただきました。 

戦後SFマンガ史 (ちくま文庫)

戦後SFマンガ史 (ちくま文庫)

 
長編マンガの先駆者たち――田河水泡から手塚治虫まで

長編マンガの先駆者たち――田河水泡から手塚治虫まで

 

  そして気づけば朝に。もうさすがに話し疲れていてこのあたりは記憶がまったくなくなっています。寝ることはなかったんですが、ほとんどぼーっとしていたんだと思います。ニュースでは関東や東北がすさまじい景色になっていて、新幹線が動かない、台風一過で昨夜の空がきれいだった、天気の子、といった情報が頭をするすると抜けていきました。

 解散後は千葉集さんと後輩氏といっしょに三条河原町まで歩き、朝ご飯を食べて帰りました。京都市役所前あたりで、はいふりOVAの納沙幸子がかわいい、という話をしていた記憶があります。劇場版ハイスクール・フリートをよろしくお願いします。

 家に着くと、なんだかすごい二日間だったな、と思いながらベッドに倒れ込みました。SFで育ってきた人が集まってSFについて語りまくるだけでこんな熱量が出てくるんだな、という驚きがいちばん大きかったんだと思います。ほぼほぼ異文化交流レベルでした。ミステリメインで読んでいる人も来たら来たで結局楽しいんだと思います。

 というわけで来年も参加したいですね、という気持ちでいっぱいでした。次はもっといろんな人に声をかけていくようにしたいですね(たぶんできない気がする)。

 

告知について

 さて、今回の京都SFフェスティバルで頒布した『あたらしいサハリンの静止点』ですが、来月の文学フリマ東京でも頒布します。ペーパーとかつきますか。なんにもわかりません。各人が乗り気ならなにか追加であるかもしれません。あんまり期待はしないでください。

 またSFではありませんが、Re-ClaM編集部さん発行の『Re-ClaM』vol.3クラシックミステリの特集に短い文章を寄稿しています。自分は恐れ多くもエラリー・クイーンについて書いています。新しいことは言っていませんが、古典ミステリ入門紹介といったようなブックガイド企画になっていると思いますので、ミステリにちょっと興味あるな、という方はぜひお立ち寄りください。

c.bunfree.net

 

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 現物は帯で隠れていて気づきにくいんですが、真ん中の「あたらしい海」(拙作です)の女の子ふたりはスカートの丈の長さが違うんですよ。なにも指定しなかったのに拾ってくれた今井哲也先生ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

*1:同志社ミステリ研究会

*2:https://nullpeta.com/

*3:そのあたりの経緯は第十回創元SF短編賞の思い出。 - 名馬であれば馬のうちを参照のこと。

*4:あとで知り合いが近くに座っていたことに気づいた。

*5:事前申し込みの場合は振り込み。

*6:事前申し込み登録をした参加者には、当日の模様を撮影したライブ配信をおこなう旨が告知されていた。

*7:マイアミ沖殺人事件 (捜査ファイル・ミステリー・シリーズ 1) (1982年)雨月荘殺人事件―公判調書ファイル・ミステリー (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)

*8:BIRLSTONE GAMBITに収録されたが、現在は入手不可能。

*9:ほかにも大量に単行本未収録作品があるのですが、まとまってくれないかな……。あと#らくがき 吹雪まんが(ネーム) - 今井哲也のイラスト - pixivもおもしろかったです。

*10:Webミステリーズ! : 石川宗生さん『半分世界』刊行記念・飛浩隆先生によるインタビュウ!

*11:あとで谷林守さんのぶんだったと知った。すみません。