PCが復活したので記録も再開します。
メロディ・リリック・アイドル・マジック (ダッシュエックス文庫DIGITAL)
- 作者: 石川博品,POO
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/08/25
- メディア: Kindle版
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描かれる舞台はむろん架空の場所、沖津区、なのだけれど、間違いなく自覚的に中野ブロードウェイを思わせる場所を登場させたり、アングラ系のパフォーマンスなどは現実をベースにしている。そうして架空の地下アイドル界隈でのまったく新しいユニットの立ち上げを描いてみせたときに、読者はそこになにかをダブらせずにはいられないのだと思う。
でもじつは、そういう《ダブら》せるという行為はフィクション・非フィクションにかかわらず重層化される。ファンによってそれがなされるのである。とりわけわかりやすいのは、作中の登場人物、特に地下アイドル(と呼ばれるの嫌う人々)はテレビ出演を繰り返すメジャーアイドルグループの存在を否定し、逆に、自分たちが「本物」であると豪語するあたりだ。そんな彼女たちがみせるパフォーマンスのは半分は客とのケンカに近い。それこそテレビには映せないものである場合もある。しかし、彼女たちのファンはそうしたパフォーマンスであったり、一曲一曲の誕生を受け入れ、咀嚼し、口々に語り合うのだ。結果として、その重層化されたエピソードはファンのなかで《歴史》として刻まれる。あるいは、ファン自身を歴史の目撃者へと錯覚させてしまう。
なにを言いたいのかといえば、たぶん以前だったらロックバンドあるいはパンクバンドが持ち得ていた物語の役割を、より確固とした形でアイドル物語として成立することができるということを、石川博品は証明してしまったのだと思う。そしてそういう態度はど直球の青春物語なのだと思う。
Tokyo 7th Sisters -episode.Le☆S☆Ca- 前編
- 作者: 円居雄一郎,古瀬風,Donuts,茂木伸太郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/07/26
- メディア: コミック
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Tokyo 7th Sisters -episode.Le☆S☆Ca- 後編
- 作者: 円居雄一郎,古瀬風,Donuts,茂木伸太郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/08/26
- メディア: コミック
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とはいえ、このゲームの世界観の面白いところは、二〇三四年の近未来を舞台にしているところで(それにしてはSFガジェットが少ないのだけれども)、その時代ではカリスマ的アイドルが流星のように登場、そしてすぐさま解散してしまい、以降アイドルという文化自体がほぼ死滅しているという設定であるところだ。ゲーム中でもそうだが、もちろん、小説中でもそのカリスマアイドルグループの存在は、過去の《歴史》として語られる。彼女たちを直接見てきたキャラクターの言葉は、どこか証言めいたものになっている。概念としての《アイドル》、歴史としての《アイドル》が作中でも重層化されているのだ。
そういうなかで、改めて、なぜカリスマアイドルグループが解散しなくてはならなかったのか? あるいはアイドルとはなんなのか? という謎あるいはメッセージを原動力としてストーリーは展開していく。そういう意図的な構造を持っている部分からも、このゲーム、Tokyo 7th Sisters、通称ナナシスは面白いんじゃないかと思っている。
- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 久遠侑,和遥キナ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2016/04/30
- メディア: 文庫
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- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2016/07/08
- メディア: 単行本
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