第9回創元SF短編賞 大森望賞受賞作を公開いたします。【2022/9/15 公開を停止いたしました。】

ミステリーズ! Vol.89作者:福田 和代ほか東京創元社Amazon 2018年6月11日発売の『ミステリーズ!Vol.89』に第9回創元SF短編賞の選評が掲載されています。私事で大変恐縮ではありますが、このたび織戸久貴(おりとひさき)名義の拙作「夏の結び目」が大森望賞…

アイカツフレンズ!を誤読する。8話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。8話 みおのCM大作戦!トップアイドルとして、世間から注目が集まっているみお。 世界的に有名なクリエイターから声がかかり、マカロンのCMに抜擢される。 …

アイカツフレンズ!を誤読する。7話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。 7話 ミライへ続く道 ラブミーティアのミライからの指名で、あいねはドラマ『アイドルは魔女!』のゲスト出演が決まった。 練習を重ね、完璧にセリフを覚えた…

アイカツフレンズ!を誤読する。6話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。 6話 日向エマージェンシー!?日向エマは、同じプロダクション所属でひとつ年上の頼れるお姉さん。みんなで行くキャンプでも、リーダーシップを発揮する。一…

アイカツフレンズ!を誤読する。1話

※本記事は、『アイカツフレンズ!』の作品内容について、細かく言及することを目的としています。 1話 「ハロー フレンズ!」友希あいねはスターハーモニー学園の普通科に通う女の子。 中学2年生に進級する春休み、学園のトップアイドル・湊みおに出会う。…

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ その2

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ - ななめのための。注:前回のつづきです。この記事はネタバレと偏見を含みます。インタビュー記事などを参照した作品解析ではなく、自分が作品から受け取ったものをメモすることを…

私的アニメランキング(2018年5月時点(たぶんころころ変わる

なんだか近隣でアニメのオールタイムランキングを語るのがはやっているようなので便乗することにします。といってもほぼゼロ年代以降ですね、世代的に。■10位 氷菓 第18話 連峰は晴れているか せんじつメフィスト賞を受賞した作者がこれを見ていたそうなので…

映画『リズと青い鳥』で気になったシーンとそれに対する(偏った)解釈メモ

注:この記事はネタバレと偏見を含みます。インタビュー記事などを参照した作品解析ではなく、自分が作品から受け取ったものをメモすることを目的としています。原作は未読。 ・冒頭部、校門に入り、階段に座り込む鎧塚みぞれ。 →その後、足音とともに女生徒…

百合(漫画その他)を伝えるための51+1作品を紹介する。

タイトルの通りです。 ほんらい自分とはちがった価値観を持つ他者に魅力が伝わるようにするためには、まずなにより熱量がたいせつで、それ以外には適切な技術(相手にとっての勘所をおさえるような)があればよいとおもうのですが、どちらも手元になかった人…

志村貴子『わがままちえちゃん』を誤読する2

志村貴子『わがままちえちゃん』を誤読する1 - ななめのための。わがままちえちゃん (ビームコミックス)作者: 志村貴子出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2015/03/25メディア: コミックこの商品を含むブログ (20件) を見る ※本記事は、『…

志村貴子『わがままちえちゃん』を誤読する1

わがままちえちゃん (ビームコミックス)作者: 志村貴子出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2015/03/25メディア: コミックこの商品を含むブログ (20件) を見る※本記事は、『わがままちえちゃん』の作品内容について、細かく言及することを目…

ジャンルとしての百合とは

ここ一年ほど、なぜか「百合ってなんですか?」と訊かれることがとみに増えました。 それはつまり、ジャンルとして、もしくは市場のひとつとして、多くの人にとって「百合」という言葉が認識の外側から内側へとやってきた、ということを間接的に意味している…

タイトルのレトリックはいかに密造されたか

downyの好きなアルバムは、と訊かれたら『無題』と答えるのが無難ですね。というわけで、昨年末に読み散らした『タイトルとの魔力』という本がなかなか考えさせる内容に思えたので、メモ代わりにつらつらと書いていきたいと思います。タイトルの魔力―作品・…

摂取(に失敗した)記録

今年も残すところわずかばかりとなりましたが、すこしずつちいさな感覚をなくしてしまったことを、酢昆布のようにかみしめていきたいと思います。あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一出版社/メー…

今年読んだ創作本(再読含む)

一度の小説の書き方について頭のうちで整理をしたいと思い、さいきんになって読み直すなどしていました。また、どういったシナリオ指南本を読んでいるのか、と聞かれることも比較的多くなったので、まとめることにしました。以下はそのリストとそれを読んだ…

アニメJust Because!を誤読する5

今回も誤りつづけていきたいと思います。よろしくお願いします。ようやく折り返してからの7、8話です。彼/彼女らのこじらせはとどまるところを知りません。 [Blu-ray]" title="Just Because! 第4巻 [Blu-ray]">Just Because! 第4巻 [Blu-ray]出版社/メー…

アニメJust Because!を誤読する4

引きつづき、また過ちをおかしていきたいと思います。今回は第五話、第六話。年を越して、みんな気まずい雰囲気からのスタートです。頑張るぞい。 [Blu-ray]" title="Just Because! 第3巻 [Blu-ray]">Just Because! 第3巻 [Blu-ray]出版社/メーカー: NBCユニ…

アニメJust Because!を誤読する3

それでは前回に引きつづいて、読み違えていきたいと思います。今回は物語がゆっくりと動き出す第四話です。ブン回していきましょう。 [Blu-ray]" title="Just Because! 第2巻 [Blu-ray]">Just Because! 第2巻 [Blu-ray]出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エ…

アニメJust Because!を誤読する2

[Blu-ray]" title="Just Because! 第1巻 [Blu-ray]">Just Because! 第1巻 [Blu-ray]出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン発売日: 2017/12/22メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (7件) を見るななめのための。 前回に引きつづき…

アニメJust Because!を誤読する1

TVアニメ『Just Because!』は現在絶賛放送中、脚本・構成をライトノベル作家の鴨志田一、キャラクターデザインを比村奇石が担当する作品です。原作者による小説版(メインキャラクターのふたりを視点としたもの)も発売されており「あいつを好きな君の横顔が…

どんぐりを拾うように、

この一年ほど、須賀敦子の文章に手を伸ばしていることが多くなった。 作家としての須賀敦子をはじめて意識したのは、kindleのセールで割引されていたときだったと記憶している。内容紹介を見てなぜか書評集と勘違いし、そのため肩肘の張っていないタイトルと…

推理小説に内面化された世界の終わり、ドン・キホーテの憂鬱

※このブログ記事は、二〇一七年、某所にておこなわれた読書会のレジュメを改稿したものです。ヒーロー!作者: 白岩玄出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/03/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 白岩玄という作家をご存知だろうか。…

摂取記録

映画の授業―映画美学校の教室から作者: 黒沢清出版社/メーカー: 青土社発売日: 2004/04/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (28件) を見る 先日精華大学で黒沢清監督の講演会があったとのこと*1で、いけなかったけれど気になっ…

TVアニメ『アイカツ!』入門講義:第0夜

そこは小さな、といっても、大学生がふだん授業を受けるために使われるのに比べては、という意味でだが、狭い部屋だった。 場所は半地下といった趣で、地上階と同じ高さに顔を出している磨り硝子の窓からは、うすぼんやりとした光が差し込んでいる。白、とい…

摂取記録

書きそびれていたので、また書く。ツタよ、ツタ作者: 大島真寿美出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2016/11/25メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 帯が表紙の画を活かすようにデザインされていたのが気になったので、昨年末に買って読…

寂しいネットで拾遺する―ミステリ漫画落ち穂拾い―

ミステリマガジン2017年7月号*1の特集のミステリ漫画50選があまりにも選出意図がわからず書店で戸惑ってしまった(『最終兵器彼女』や『ガンスリンガーガール』を紹介するのはちょっといかがなものかと思った)ので、自分の本棚から目についたミステリの漫画…

2016年度殺し文句大賞授賞式

「ほんとうの言葉は、いったん空になった船を見つけて、もう一度借りたときに生まれるのだ。」と『その姿の消し方』でつづったのは堀江敏幸であるのだけれど、自分はそのようなことばとの関わりを結べていないどころか、須賀敦子のように一トンもの塩をなめ…

ある労働と背表紙の話

唐突ではあるけれど、自分にはおよそ一年間にわたって、大型書店のいちアルバイターとして仕事をさせていただいた経験がある。もちろん比較的責任のすくないアルバイト戦士*1とはいえ労働であることに変わりはなく、作業がルーチン化していくにつれて自然と…

告知です。

2017年1月22日に「京都市勧業館みやこめっせ」にておこなわれる第1回文学フリマ京都に参加します。 サークル名は「関西ミステリ連合OB会」。 場所は「あ-13〜14」。頒布する冊子は以下の通りとなります。 自分は先日アップロードしました、認知…

続・認知物語論からミステリを考える

認知物語論から推理小説の探偵を考えてみる - ななめのための。のつづきです。というより自分がここ数年考えてきたことをとりあえずまとめてみないか、という打診をいただきましたので、とりあえず書いてみました。 上記のリンクの部分もまとめていますので…